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4手の楽しみ シューベルティアーデ 開催レポート
2012年3月29日(木) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 3月29日パウゼにて、洗足学園音楽大学及び同大学附属音楽教室の4名の先生方、杉本安子さん、草冬香さん、佐伯周子さん、南雲竜太郎さん(賛助出演)による『4手の楽しみ シューベルティアーデ』リサイタルが開催されました。シューベルティアーデとは、シューベルトの友人たちが彼を囲み開いた小さなサロンコンサートのことで、プログラムはシューベルトの連弾曲ばかりで構成されていました。この日、会場には非常にたくさんのお客様がいらしており期待の高さが伺えました。

 前半最初は≪イタリア風序曲 ハ長調≫D597(I.杉本さん II.南雲さん)です。この作品は、1817年に当時のウィーンで流行していたイタリア趣味のスタイルを用いて、オーケストラのための序曲を作曲し、それを連弾用に編曲したものです。オペラの作曲で有名なロッシーニの影響が表れており、明るく愉快な旋律を朗々と歌うように表現されていました。

 次は、≪ロシア皇帝アレキサンダースI世の逝去を弔う大葬送行進曲 ハ短調≫D859 Op.55(I.佐伯さん II.草さん)です。どっしりと足取りを踏むような重々しい雰囲気に包まれていきます。中間部での、伸びやかで温かみのある演奏は大変美しいものでした。

 続く≪3つの軍隊行進曲≫より<第1番 ニ長調>D733/1 Op.51-1(I.草さんII.佐伯さん)では、先ほどの曲とは打って変わって、軽快なテンポでスイング感溢れる演奏で楽しませてくださいました。

 そして、前半最後の≪2つの性格的行進曲≫【D968B】(旧D886 )Op.121(I.草さんII.佐伯さん)では、ベートーヴェンの作品を思わせるような、息をのむほどの勇ましく緊迫した演奏を聴かせてくださいました。

 休憩を挟み、後半は≪イタリア風序曲 ニ長調≫D592(I.佐伯さんII.草さん)で始まりました。哀愁を帯びたアダージョの部分と、その後の華やかでコロコロとした部分のコントラストを豊かに表現されていました。

 続いて、≪フランスの歌による8つの変奏曲 ホ短調≫D624 Op.10(I.杉本さんII.南雲さん)です。この作品は、ナポレオンの弟でオランダ王であるルイ・ボナパルトの妻オルタンス女王が作曲した<素敵な騎士>の旋律をもとに書かれ、生涯にわたり崇拝していたベートーヴェンに献呈されました。上品でしっとりとした主題が次々と変奏され、お二人の色彩豊かな響きから、様々な表情が感じられました。

 最後は、≪ロシア皇帝ニクラウスI 世即位を祝しての英雄的大行進曲 イ短調≫D885 Op.66(I.杉本さんII.南雲さん)です。この作品は、前半2曲目で登場したアレキサンダースI世の弟ニクラウスの即位を祝い作曲されていますが、当時の不安定な社会情勢や、作曲者が不治の病に冒された絶望感などが反映されています。激しい感情と穏やかな感情がぐるぐると回っているような複雑で奥の深い演奏に、胸が熱くなりました。

 アンコールに、草さんと佐伯さんが前半3曲目の≪軍隊行進曲≫を再び演奏して下さり、4人の方々に盛大な拍手が贈られ、演奏会が締めくくられました。

 4人の方々による息の合った演奏でこれらの連弾曲を存分に味わえ、「歌曲の王」とはまた違ったシューベルトの一面が見られた素敵な演奏会でした。

(K. S.)

 

 

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