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齊藤一也 ピアノリサイタル 開催レポート
《2010年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ 》
2012年3月1日(木) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 将来有望なピアニスト、齊藤一也さんのピアノリサイタルを聴きました。齊藤さんは2010年の日本音楽コンクールで第3位に入賞されました。会場には年代、音楽関係を問わず、たくさんの方々が応援に駆けつけ、大賑わい。齊藤さんの人気の高さがうかがえます。

 最初のプログラムは、モーツァルトのソナタヘ長調(K.332)。優雅でありながら、モーツァルト特有のかわいらしさと悲しみを感じることのできる曲です。特に第3楽章で聴かれる短調になった部分の感情の翳りは悲しく美しく、全体は活き活きとした印象を与える演奏でした。

次のブラームス《パガニーニの主題による変奏曲》では、おなじみのパガニーニのイ短調のテーマを、手指の精巧な動きでもって変奏を繰り広げていきます。第1巻第8変奏の激しいうねり、第11変奏の夢見るような雰囲気、第2巻第10変奏の悪魔のような響き…同じテーマから紡がれているとはいえ、様々なテクニックや曲想でもって、めくるめくパガニーニの世界を楽しませて下さいました。第1巻から第2巻へと続けられ、28の変奏にたっぷりと浸ることができました。

 後半はラヴェルです。《夜のガスパール》では旋律や技術を超えて、響きや空気が作り出す流れを魅惑的に聴かせてくださいました。第2曲ではまさに〈絞首台〉の近くに自分が立ったかのようなリアルさのある演奏でした。第3曲〈スカルボ〉では、スカルボつまり「いたずら好きな妖精」が会場のいろいろなところに現れては消えるかのような臨場感がありました。

最後の《ラ・ヴァルス》は、古い宮殿の大広間で行われる舞踏会を彷彿とさせるような、スケール感の大きな演奏でした。ワルツの片鱗が暗闇から少しずつ見えてくる様子はラヴェルの心憎い演出で、それをとてもセンスよく洒落た感じに仕上げて聴かせてくださいました。

 会場と楽器と奏者が一つになって盛り上がった今夜の演奏会でしたが、さらなる盛り上がりを見せたのは、アンコール2曲目、奏者自身の編曲による〈小犬のワルツ〉と〈猫踏んじゃった〉による即興曲。その巧みなアレンジに会場が沸きました!

 ピアノ弾きを心から楽しんでいる齊藤さんの音楽に乾杯したくなる、そんな一夜でした。

 (T.)

  

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