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日本ショパン協会 第258回例会
田中香織ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.15》
2012年
2月25日(土) 18:30開演( 18:00開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 今宵のコンサートは、シューベルトの即興曲シリーズにショパンの即興曲シリーズ、さらにはシマノフスキのギリシャ神話を描いたメトープが加わり、聴き手を幻想的な世界に引き込むようなプログラムでした。これらのプログラムを演奏されたのは、数々の国際コンクールで秀逸な成績を収めてこられた田中香織さん。柔和で上品な音色、炎がほとばしるような力強さ、抜群の安定感などを持ち合わせた、実に多彩なピアニストです。

 最初に演奏されたシューベルトの4つの即興曲Op. 142では、田中さんの持ち味の1つである気品に満ちた音が、会場いっぱいに広がりました。田中さんの音楽創りはとても丁寧で、1つ1つの音が丹念に磨き上げられており、まるで、並んだ宝石の粒を眺めているようでした。最後の第4番はややエキゾチックな曲調でしたが、そこでは前3曲には見られなかったような鋭い切れ味や妖艶さも感じされました。

 次に演奏されましたショパンの4つの即興曲では、甘美さと哀愁が入り混じった、奥深い世界が生み出されていました。先ほどのシューベルトで感じられたような端正さに加え、訴えかけるような情熱や繊細な心の動きが表されているように感じました。とりわけ第2番と第3番は、現実の時がとまったような幻想的なハーモニーの空間が出来上がっていました。ショパンの定番レパートリーである第4番「幻想即興曲」も、田中さんの持つ多彩な音色で美しく仕上げられ、とても新鮮な気持ちで聴くことが出来ました。

 最後のプログラムであるシマノフスキの「メトープ」は、先ほどのシューマンやショパンにはなかったような、神秘的な響きや複雑な音の絡み合いがありますが、田中さんの演奏には非常な安定感がありました。特に1曲目の「セイレーンの島」では、音の掛け合いが見事に表現され、本当に波の音を聴いているかのようでした。3曲目の「ナウシカー」も複雑な響きの和音が重なる楽曲ですが、それでも田中さんの奏でる音は、1つ1つがきらきらと輝いていました。

 アンコールにはモシュコフスキの「火花」が軽やかに演奏されました。田中さんの素晴らしい技術と表現で、ピアノという楽器の様々な可能性を発見出来た、素晴らしいコンサートでした。

(A. T. )

 

 

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