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ピアニスト 松本和将の
「楽曲毎に見るペダル使用法」公開講座(全5回シリーズ)第3回 開催レポート
2012年6月7日(木) 10:30〜12:30
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 

 素晴らしい演奏と、わかりやすい解説で毎回好評を博している松本和将先生の『楽曲毎に見るペダル使用法』講座。第3回目は「ロマン派」をテーマに、シューベルト、シューマン、ブラームス、リスト、フランクの作品をとりあげられ、実演を交えながら解説して下さいました。

 前半は、シューマン≪トロイメライ≫とシューベルト≪即興曲≫Op.90-2です。ここでは、歌のように滑らかな曲想を表現するために、主に以下の点についてお話しされました。

(1) 細かな音符、特に2度や半音階的な動きの時は、音が濁らないように注意しながら、ハーフペダルなどで細かく踏みかえること。(例えば、トロイメライの8分音符では、音が減衰するタイミングを聴きコントロールしながらレガートを作る、即興曲の冒頭のパッセージでは、浅いペダルで細かく踏むなど)

(2) 和声の微妙な変化を考えながら踏みかえること。(トロイメライ:10小節〜、即興曲:25小節〜など)

いずれも、「いかに音色をきれいに響かせるか」が重要で、そのためにも足の力を抜き足首の関節を上手に用いて、しなやかに踏みかえることが求められます。

 後半最初は、ブラームス≪6つの小品≫Op.118より第2曲<間奏曲>と第3曲<バラード>です。ここでは前半で解説して下さったことに加え、特に<バラード>では、オーケストラのような響きの出し方を教えてくださいました。例えば冒頭の部分では弦楽器のような響きを意識するなど、オーケストラはピアノよりも響きや余韻があることを考え、ハーフペダルでブレスをしながら、全体で大きく響きを作るようにたっぷりと踏むとよいとのことです。

 続いて、フランク≪プレリュード、コラールとフーガ≫です。フランクは教会のオルガニストでもありました。そのため、この作品はオルガン曲のように書かれているとのことです(極端に広い音域など)。先生は、コラールの部分を中心に解説して下さいました。特に12小節目から現れる合唱のようなアルペジオを例に、一音一音をきっちりと踏みかえず、響きの微妙なバランスをコントロールしながら、和音ごとにどのような響きが必要かを考え、きれいな濁りができるようにするとよいとお話し下さいました。

 そして、リスト≪ピアノ・ソナタ ロ短調≫に移ります。このソナタは、壁が見えないほどの大ホールで演奏するようなイメージで、オーケストラやオペラのように巨大な世界を表現しているのだそうです。曲中に多く登場するアルペジオなどは、一瞬ペダルを細かく踏み替えたい衝動に駆られますが、あえて長く大胆に踏むことにより、オーケストラのような広がりのある響きが出せるとのことでした。

 先生は最後に「ペダルは、頭の中に響きのイメージを持ち、耳で踏む」ことが大切と仰って、講座を締めくくられました。

 先生が解説と共に披露して下さった演奏は、実際にオーケストラやオルガンなどの響きが聴こえてくるようでした。ペダルの踏み方でピアノ以外のあらゆる音色が表現できることを学べ、まさに驚きの連続の2時間でした。松本先生の公開講座、次回のテーマは「フランス音楽を中心とした近現代」。7月13日(金)に開催予定です。

(K.S)

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