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ピアニスト 松本和将の
「楽曲毎に見るペダル使用法」公開講座(全5回シリーズ)第2回 開催レポート
2012年4月25日(水) 10:30〜12:30
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

   

 4月25日(水)、ピアニストの松本和将さんをお迎えして、『楽曲毎に見るペダル使用法』講座(第2回)が開催されました。今日のテーマは「バロックから古典派」。初めに、モーツァルト《ピアノ・ソナタ 第10番》KV330第1楽章の演奏がありました。

 非常に繊細で軽やかな響き。この演奏だけでも、今日来てよかったなと思いました。さて、舞台前方のスクリーンを見ると、先生の足はピクピクと動き、ペダルを実に細かに操作していらっしゃいます。もちろん、先生の優れたテクニックや指のタッチにもよっていると思いますが、このペダルも繊細な響きの源だったのでしょう。

 松本先生がまずお話しになったのは、2種類のペダルについてです。1つ目は“音をつなぐためのペダル”で、指ではつなげられない時にペダルの助けを借ります。2つ目は“響きを作り出すためのペダル”で、この種のペダルはさらに3つに分類されます。“音をふくらますペダル”“音の余韻を作り出すペダル”“いつくかの音を和音として響かせるペダル”。もちろん重要なのは、2つ目のペダル使いです。

 このことに加え、バロックから古典派の作品を演奏する際、ピアニストにとって重要なポイントがあります。それは、「当時の響きらしく響かせるにはどうしたらよいか」ということ。というのも、当時のピアノについていたペダルは、現在のピアノのペダルとは性能が異なるからです。残りの紙面では、ベートーヴェンを例に、先生のお話の中からペダルの使い方を2点ご紹介します。

 まずは、ペダルを踏みっぱなしにする指示について。《ピアノ・ソナタ 第21番》op. 53「ワルトシュタイン」の第3楽章冒頭に、長いペダルの指示があります。楽譜通りにペダルを踏むと、どんどん音が濁って…。ベートーヴェンがこのような響きを求めていたかといえば、答えはもちろんNoでしょう。当時のピアノは音の減衰が早かったために、さほど濁りは気にならなかったようです。では、現在のピアノでは長いペダルの指示をどう対処すればよいのでしょうか。

1. ハーフペダル(ペダルを踏んで最初に固くなるところから、5mmくらい踏み込む)を用いつつ、
2. 和音の変化する箇所(ex. 2小節目と3小節目の間)、旋律が下行する箇所(ex. 2-3小節目のE-D)で、ペダルを浅く踏み替えることで、 汚くは濁らず、あえて濁る程度の幻想的な響きがもたらされるそうです。

 次は、fpをペダルで作り出す方法についてです。fの音量でペダルを踏むと、減衰の遅い現代のピアノではなかなかpにはなりません。ですが、《ピアノ・ソナタ 第8番》op. 13「悲愴」の第1楽章冒頭のfpを例に、ペダルを踏みながらfpを表現する方法を、先生が伝授して下さいました!

1. fで和音を弾いた後、和音の最高音以外、あるいは左手だけはなし、
2. ペダルを完全にではなく、少し上げ、音を減衰させる
という手順で、fpの響きを生み出すそう。
実際、先生の足の動きは本当にわずかで、難易度は高そうですが、習得できれば表現の幅が広がることは間違いなしです。ぜひお試し下さい!

 先生は講義の中で、この他にも多くの例を示して下さいましたが、「ペダルの踏み方の中でどれが正しいというのではなく、当時のピアノで弾くとどのような響きだったのかということを想像することが大事」だと強調されていました。

 毎回素晴らしい演奏とお話で、あっという間に2時間が経ってしまいます。次回は6月7日(木)、「ロマン派」をテーマにお話しいただく予定です。

(A・H)

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