東日本大震災の復興支援を目的としたチャリティーコンサートも、6月27日に最終回を迎えました。3人のピアニスト江崎昌子さん、島田彩乃さん、清水和音さんという顔ぶれに、チケットは完売する人気ぶりで、満席の「パウゼ」はたいへん賑やかに開演を待ちました。
まず江崎さんはショパンの《舟歌嬰ヘ長調》を演奏。この曲の随所に、祈りのような深い気持ちがこめられていました。ショパンの《ボレロハ長調》ではリズミックなキャラクターを、モニューシコの《紡ぎ歌》では抒情性豊かな旋律を、大きな息遣いで演奏してくださいました。
島田さんの演奏曲目は、ドビュッシーの《映像第1集》3曲とラヴェルの《亡き王女のためのパヴァーヌ》。耳をとらえたのは、色彩感の豊かさとハーモニーの美しさでした。その時どきの音の重なりが素晴らしい美的センスに基づいていて、客席はうっとり聴き入っていました。
最後に清水さんはショパンの《バラード第4番ヘ短調》と《2つのノクターン》を演奏。強弱の幅、さまざまな音色といった造形美が大変きわだち、完成されたプロポーションを持つ演奏でした。一瞬たりとも聴き手を油断させない壮大さに、客席から熱烈な拍手が送られました。
このチャリティーコンサートにかかわったすべての人の善意が、少しでも東北の地を元気づけることができればいいなと思います。
(T.)