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東日本大震災復興支援

チャリティーコンサート at カワイ表参道

開催レポート

6月7日(火)時間:12:00〜13:30
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

及川浩治
(C)Yuji Hori 

山岸ルツ子

外山啓介
(C)Yuji Hori 

 3月11日に起こった東日本大震災による被災地への一日も早い復興を祈念して開催されている『東日本大震災復興支援チャティーコンサートシリーズ』も、早いもので残すところ3回となりました。今回は、日本を代表する3名のピアニスト 外山啓介さん・山岸ルツ子さん・及川浩治さんの3人による演奏で、会場には非常に多くのお客様がいらしていました。

 最初は、外山さんによりベートーヴェン≪ソナタ第8番ハ短調「悲愴」Op.13≫が演奏されました。抑制されてかっちりとした形式感の中に、高い集中力と細繊で豊な音色を駆使して、作品の持つ劇的な世界観が見事に表現されていました。とりわけ、第2楽章においてそれらの特徴が生かされ、これまでに聴いたことのないような瞑想的な美しさが感じられました。

 次は山岸さんにより、リストの作品が4曲演奏されました。最初に演奏された≪3つの演奏会用練習曲≫より「軽やかさ」と「ため息」です。この作品は技術的にも音楽的にも大変高度なものですが、それらの困難を全く感じさせない、自然な息づかいで歌うように伸びやかな演奏をされました。続いて2曲目の≪パガニーニ大練習曲集≫より「ラ・カンパネラ」を演奏される際、ご自身のイタリア留学時代に、師匠ベルマン氏が、作品の持つシンプルな旋律が次第に困難になって行く様子を「人生のさまざまな困難と闘い、最後に自分なりの鐘を鳴らせたら。」と語られた思い出に重ね、「震災で大変な状況でも一人一人が懸命に生き、皆で少しずつ協力し合い乗り越えられたら。」とお話しされました。そのメッセージが強く反映された、鐘の音が無数に響き渡るような演奏は、非常に勇気と希望を与えてくださるものでした。最後の≪ハンガリアン狂詩曲 第2番 嬰ハ短調≫では、冒頭の緩やかな部分は絶妙な間の取り方で緊張した雰囲気が醸し出され、続く急速な舞曲では、勢いがあり白熱した演奏を聴かせて下さいました。

 最後は及川さんです。まずは、バッハ=ブゾーニ≪我汝に呼ばわる、主イエス・キリストよBWV.639≫をオルガンの荘厳で深い響きを彷彿とさせる音色で、心に沁み入るような温かい演奏をされました。続くワーグナー=リスト≪イゾルデの愛の死≫では、ピアノ1台で弾いているとは思えないほどの多彩な響きがするダイナミック演奏から、張り裂けそうなほど情熱的で壮大な世界が感じられました。そして、終わりに演奏されたのはリストが、ゲーテの『ファウスト』をモデルに作曲した≪メフィストワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」≫です。冒頭では居酒屋で人々が賑やかに踊っている様子、妖しくロマンティックな中間部を経て、最後はそれら2つの要素が複雑に織り交ざり熱狂的になって行く様子が及川さん独自の視点で表現された、豪快かつ爽やかな演奏を聴かせて下さいました。

  三人三様の震災に対する強い思い入れが十分に伝わってきた素晴らしい演奏に、会場から盛大な拍手が贈られ、感動的なコンサートとなりました。

 (K.S.)

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