東日本大震災復興支援として開催されている「チャリティーコンサート
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カワイ表参道」は、今回で5回目です。世界的に活躍されている松本和将さん、パーヴェル・ネルセシヤンさん、そして田崎悦子さんの3名という豪華な顔ぶれに、会場は超満員のお客様で埋め尽くされました。
最初に登場した松本和将さんの1曲目は、バッハ=ブゾーニ《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ》BWV
1004より「シャコンヌ」ニ短調。静寂の中、集中力を高めて発せられた第1音から深い祈りのような音色が広がり、心に染み入る本当に素晴らしい演奏でした。2曲目では、雰囲気はがらりと変わり、超絶
技巧に彩られたモーツァルト=ヴォロドス《トルコ行進曲》が演奏されました。華やかに鍵盤を駆け巡る完璧なテクニックには、まさに脱帽でした!
2人目は、ロシアン・ピアノスクールin東京でもお馴染みのパーヴェル・ネルセシヤンさん。曲目は、祖国ロシアの作曲家、チャイコフスキーの《四季》Op.
37より1月「炉辺で」、2月「謝肉祭」、3月「ひばりの歌」、4月「松雪草」、5月「白夜」でした。弱音の中でも、本当に様々な音色を巧みに操り、歌のように音楽が運ばれていきました。優しさにあふれていて、まさに彼のあたたかい音楽に包み込まれているような素敵な時間でした。
最後の田崎悦子さんは、はじめに今回の震災と戦後復興とを重ね合わせ、明るく前を向いて助け合っていきたい、というお話をされ、演奏へ。とりわけ最初のショパン《ノクターン》Op.
72-1は、そのようなメッセージを受け、とても感動的な演奏だったと思います。続くショパン《マズルカ》Op.
6-2、Op. 7-3、Op.
24-2は、抒情的で美しいフレーズの歌い方が印象的でした。最後のガーシュイン《3つの前奏曲》は、いきいきとしたリズムで、元気を与えてくれるような音楽の力強さを感じました。
最後には3人の演奏者全員に、再び盛大な拍手が送られました。この未曽有の大震災の前には微力かもしれませんが、こうして音楽が貢献していけるのは、本当に素晴らしいことだと思います。
(M.K)