5月12日パウゼにて、『東日本大震災復興支援チャリティーコンサートatカワイ表参道』が開催されました。このコンサートシリーズは、東日本大震災による被災地への一日も早い復興を祈念して、多くのピアニストの方々のご協力のもと全9回にわたって行われます。第4回目となる今回は、活発に演奏活動をされている傍ら、現在東京音楽大学で教鞭を取られている3名のピアニストの方々、菊地裕介さん、石井克典さん、弘中孝さんがご出演くださいました。この日は、すでに前売りの段階でチケットが完売するほど多くのお客様がいらしており、今回のコンサートへの期待の高さが伺われました。
コンサートは、それぞれお話を挟みながら終始和やかな雰囲気で進められました。最初は菊地裕介さんで、来月にベートーヴェンのピアノソナタ全曲演奏会を行われることもあり、この日はベートーヴェン作曲《ピアノソナタ第28番
作品101》を演奏されました。この作品における人生の苦難などを回想し復活してゆくような曲想と、菊地さんによる楽章ごとの性格が巧みに表現された力強い演奏から、非常に勇気が沸いて来るような気持ちにさせられました。
続いて、石井克典さんです。震災による地獄のような悲惨な状況と、被災地の方々へ祈りの気持ちを込め、リスト作曲《ダンテを読んでーソナタ風幻想曲》と《コンソレーション第3番》を演奏されました。ダンテの『地獄篇』がもととされている《ダンテを読んで》では、身の毛がよだつほどの壮大な地獄の世界が表現されていました。《コンソレーション》では、先ほどとは打って変わって、輝かしく伸びやかな演奏をされ、平和で穏やかなひと時が流れてゆくようでした。
最後は、弘中孝さんです。1曲目は、ブラームス作曲≪3つの間奏曲
作品117≫です。内面に語りかけてくるような温かく奥深い演奏を聴かせて下さいました。2曲目は、J.S.バッハ作曲(ヘス編曲)≪主よ、人の望みの喜びよ≫です。慈愛に溢れ、心に沁み入るような演奏に深い感動を覚えました。
今回の震災により、心に深い傷を受けられた多くの方々へ音楽を通じて癒されたり、また、明日への希望と一日でも早く立ち直っていただきたいというメッセージが強く伝わってきたような、素晴らしいコンサートでした。
(K.S)