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武内みさき&和田萌子 ピアノジョイントリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.19》
2011年12月1日(木) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

和田萌子さん

武内みさきさん

連弾

 12月1日、今年の春に東京藝術大学大学院を優秀な成績で修了された武内みさきさんと和田萌子さんによる、ジョイント・リサイタルが開催されました。あいにくの雨模様でしたが、先生方や学生さんをはじめ多くのお客様が表参道のパウゼを訪れ、若いお二方の演奏に熱心に耳を傾けておられました。

 前半は和田さんの演奏。ロシアの作曲家による作品でまとめられた、大変ユニークなプログラムです。コンサートではあまり耳にする機会のない珍しい作品が中心ですが、どれも響きが美しく、魅力に富むものばかり。選曲にかける和田さんのこだわりとセンスのよさを感じました。最初に演奏されたブルーメンフェルドの《左手の為のエチュード 変イ長調 作品36》は、ショパンを思わせるロマンティックな作品。題名の通り、旋律もハーモニーもドラマティックなパッセージもすべて左手一本で弾き分けられ、視覚的にも大変興味深いものでした。続いては、高音のクリスタルのような響きが印象的なグラズノフの《エチュード ホ長調 作品31-3「夜」》と、絵画的な表現やしっとりとした雰囲気が印象深いボロディンの《小組曲》(抜粋)。最後はグラズノフの《ピアノ・ソナタ 第1番 変ロ短調 作品 74》の堂々たる演奏で締められました。

 休憩をはさみ、後半は武内さんによる、ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調 作品110》と《同第32番ハ短調 作品111》です。ベートーヴェンの後期ソナタ特有の深遠な世界を、武内さんは、決して借り物ではない自分自身のことばで、見事に表現されていました。特に、第31番の冒頭主題や、切々と歌われる「嘆きの歌」、鐘のような響き、第32番の第2楽章終盤のトリルなどは大変な説得力があり、心打たれました。音楽にかける武内さんの深い思い入れが伝わってくる、素晴らしい演奏でした。

 アンコールはお二人の連弾で、ビゼーの《子供の遊び》より〈舞踏会〉。ジョイント・コンサートの最後にふさわしい、楽しく賑やかな作品で、弾き終わった後は二人が顔を見合わせてにっこり微笑みあう場面も。新進気鋭のピアニストたちに、会場からは温かい拍手がおくられました。

 今夜の充実したリサイタルで、その確かな実力を披露してくださった武内さんと和田さん。今後の更なるご活躍が本当に楽しみです。

(N.J.)

終演後

今日から表参道イルミネーションが点灯しました。

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