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石川武蔵 ピアノリサイタル 開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.15》
2011年11月16日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 今日は、「石川武蔵ピアノリサイタル」《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol. 15》を聴いてきました。ピアニストの石川武蔵さんは桐朋女子高等学校音楽科(男女共学)を卒業後、渡仏。2010年に桐朋学園大学ソリストディプロマコースを、2011年にパリ国立高等音楽院修士課程を修了されています。現在は同音学院室内楽科に在籍中、若手実力派の演奏家でいらっしゃいます。

 本日のコンサートには、石川さんご本人によって「現代音楽への小路」というタイトルがつけられ、興味深いプログラムが用意されていました。

 まず、ベートーヴェン《幻想曲》op. 77で、ロマン派の到来を予感させます。曲の至るところに見られる技巧的なパッセージは、石川さんの繊細でクリアなタッチによって、いっそう輝きを増していました。続いて、ショパン《ピアノ・ソナタ 第2番》op. 35。4つの楽章の全く異なったキャラクターを的確に表現しつつも、統制のとれた演奏でした。

 休憩後のリスト《無調のバガテル》op. 216とスクリャービン《ピアノ・ソナタ 第10番》op. 70では、調性感が薄れていく中に、調性音楽とは異なった美しさを堪能することができました。

 次に演奏して下さったウェーベルン《ピアノのための変奏曲》op. 27によって、会場は完全に無調音楽の世界へ。続くブーレーズ《12のノタシオン》で、石川さんは強弱、リズム、アーティキュレーションなどの譜面上のあらゆる指示を忠実に再現され、それらの音が作り出す空間的な響きを聞かせてくださいました。

 演奏会のフィナーレは、ジェフスキ《ノース・アメリカン・バラード》より第4番〈ウィンスボロ綿工場のブルース〉でした。綿工場の機械音を表現したクラスター(=肘や平手でピアノの鍵盤を一度に大量に押さえて音を出す技法)による冒頭部はインパクト大。そうかと思えば、中間部ではジャズが…!!何より石川さんが楽しんで演奏なさっている様子が、とてもよく伝わってきました。

 これだけバラエティーに富んだプログラムを一度に弾きこなす石川さん。力量を感じずにはいられませんでした。お客様も大満足のご様子で、会場からは何度か「BRAVO〜!!」の声も。

 今後のさらなるご活躍が楽しみです。

(A・H)

 

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