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久元祐子 ピアノ演奏法講座 開催レポート
『続々・一歩上を目指すピアノ演奏法』(全5回シリーズ)
第3回 
2012年1月19日(木) 10:30〜12:30
「リスト:『巡礼の年 第2年 《イタリア》』 」
講師:久元祐子
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 第3回目のテーマは、リスト『巡礼の年第2年《イタリア》』。リストの作品は音楽以外の芸術と関連しているものが多く、それらは曲のタイトルなどにヒントが隠されています。『巡礼の年第2年《イタリア》』もそのひとつで、この作品は1830年代にダグー夫人を連れてイタリアを訪れた際に、そこでの絵画や文学などの諸芸術に触れインスピレーションを得て作曲されました。

 今回はその中より、「婚礼」、「サルヴァトール・ローザのカンツォネッタ」、「ペトラルカのソネット第104番」を中心に、これら3曲の基となった絵画や詩などにも触れながら、先生の実演を交え、作品の解釈や演奏のポイントをわかりやすく解説して下さいました。

 作品の背景を表現することに加え、リストはピアノの効果を最大限に生かした作曲家であったため、ピアノをオーケストラとして扱い、演奏する際は、オーケストラの場合ではどのような楽器が当てはまるかということを、楽譜を見てイメージすることが大切であると述べられ、全体を通して以下のような点をお話して下さいました。

楽譜の細かい指示に注意を傾け、フレーズの緊張と弛緩などの微妙な変化を大切にすること。

デュナーミクをコントロールする際は、自分の体は大きいとイメージし、指先から手首、腕、上体などを使って、mf(何も考えず楽に出せる音量)を基準に、囁くようなppから大地を轟かすようなffまで楽器が重なってゆくようにダイナミックに表現すること。

タッチは、指が手首から伸びているような感覚で、指を長く使うようなイメージで弾き、カンタービレやマルカートなどを、どのような音で表現するのか、また、ハーモニーの繊細な変化を感じながら、和音のどの音に重みをかけるかを考えること。

ペダルは、長く踏む勇気を持ち、踏みかえはハーモニーが変わるときに行うこと。

 紙面の都合上、内容を全てお伝えできないことが残念ですが、楽譜という限られた表現手段の奥に込められた作品の意図を丁寧に読み取ってゆくような久元先生のレクチャーを通じて、リストがピアノの持つ可能性を駆使し非常に大規模な試みをしていたことがわかり、「ピアノの魔術師」と呼ばれる意味を改めて実感した2時間だったように思います。

 次回のピアノ演奏法講座は、モーツァルトのピアノソナタを取り上げてくださいます。こちらも非常に楽しみです。(K.S)

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