トップページ

コンサート情報

トピックス

概要

KMFミュージックフレンズ

CDメディア

リンク

 ホーム(ニュース)> コンサート情報 > 2011年-2012年 > 久元祐子 ピアノ演奏法講座 > 開催レポート

KMAP
久元祐子 ピアノ演奏法講座 開催レポート
『続々・一歩上を目指すピアノ演奏法』(全5回シリーズ)
第2回 
2011年12月1日(木) 10:30〜12:30
「大バッハの『平均律』」
講師:久元祐子
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 好評を博して続いております久元先生によるピアノ演奏法講座。今年最後の講座はJ. S. バッハの平均律がテーマでした。平均律は、ピアノを習得する方にとって、避けては通れないレパートリーです。本日は生憎の雨でしたが、平均律への理解を深めようと、たくさんの音楽関係者が足を運びました。

 平均律は1つのプレリュードと1つのフーガがセットとなって1曲を構成しており、全2巻48曲もあります。本日の講座では、その中の第1巻第1番と第8番、第2巻第5番が採り上げられました。

 平均律の中でも最も有名な第1巻第1番は、明るく澄んだハーモニーとシンプルな楽曲構成が魅力です。先生はまずプレリュードを例に、バッハが工夫を凝らしたハーモニーの変化をどのように表現するかを解説されました。また、この変化をより際立たせるためには、決してペダルに頼らず、自分の指でベースの音を効かせることが大切であることを強調されました。フーガは1つの手で3つのパートを弾かなければならない大変な楽曲ですが、先生はどのようにテーマ(主題)の旋律を絡ませるとどのような音響効果が得られるかをわかりやすく説明し、フーガを楽しむ方法を熱心に伝えていらっしゃいました。

 第1巻第8番は、先ほどの第1番とは対照的で、悲哀に満ちた響きが特徴です。プレリュードでは、この悲哀のこもった奥ゆかしい響きを出すためには、指の腹を上手に使って柔らかいタッチで演奏しなければならない、という話題が中心となりました。フーガは第1番からかなり発展し、テーマ旋律だけでなくテーマの反行形(テーマ旋律を鏡のようにひっくり返した形の旋律)およびテーマの拡大形(テーマ旋律のそれぞれの音符の長さを引き延ばした旋律)も駆使した難曲。先生はこの大きなフーガを6部分に分け、各部分の組み立てを丁寧に説明されました。

 第2巻第5番は、プレリュードのきらびやかさとフーガの落ち着いた響きが共鳴し合った作品。プレリュードについては、先生は自ら演奏されながら、技巧的なパッセージの多いこの曲をいかに堅実にまとめるかをお話されました。フーガはテーマ旋律そのものに明暗のコントラストが含まれた興味深い楽曲です。先生はそのコントラストを活かして楽曲を美しく仕上げる方法を解説されました。落ち着いた雰囲気が祈りにも似たこのフーガ。先生の解説からは、先生自身のバッハへの熱意がこもっていました。

 こうして2時間にわたる講座もあっという間に時間が経ってしまいました。久元先生のシリーズは来年もまだまだ続きます。次はどんなお話が聴けるのか、今から楽しみにしております。

(A. T. )

 ホーム(ニュース)> コンサート情報 > 2011年-2012年 > 久元祐子 ピアノ演奏法講座 > 開催レポート