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田隅靖子 ピアノリサイタル 開催レポート
〜イタリア・スペインの作曲家たち〜
2011年11月4日(金) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 11月4日パウゼにて、田隅靖子さんのピアノリサイタルが開催されました。京都市立芸術大学名誉教授、京都女子大学教授、京都市文化功労者、京都コンサートホール館長と様々な要職を持たれる田隅さんは、演奏活動や数々のCD録音ばかりでなく、音楽啓蒙プログラムにもご尽力されるなど、実に幅広い活動を展開されています。この日は、田隅さんの演奏を楽しみにされている幅広い層のお客様で会場が埋め尽くされました。

 今回のリサイタルのテーマは、『イタリアとスペインの作曲家たち』です。プログラムノートは、田隅さんが昨年末にイタリアとスペインを訪れた際の写真や手記と共に各作品の解説がされており、実際に旅をしているような気分で演奏を楽しめました。

 前半はイタリアの作品です。最初は、プラッティ《イタリア趣味のチェンバロ・ソナタ第4番 ト短調》で、旋律を非常によく歌わせた表情豊かな演奏をされ幕を開けました。

 続いて、ロッシーニの《悲しいワルツ》と《オッフェンバック風小カプリス》です。いずれも、親しみを感じる曲想で、オペラの一場面で歌手がときおり洒落たユーモアを挟みながら朗々と歌っているところが思い浮かべられるような演奏でした。

 次は、パガニーニの〈24のカプリス〉からの引用の数々がいたるところに現れるダッラピッコラ《パガニーニの奇想曲によるソナティナ・カノニカ 変ホ長調》です。キラキラと輝きのある音色で生き生きとした演奏を聴かせてくださいました。

 前半最後に演奏されたのは、ベリオ《ピアノのためのセクエンツァIV》(1965)です。十二音技法による作品ですが、さまざまな響きをピアノから生み出していくような、鮮やかな演奏は興味深いものでした。

 後半は、スペインの作品です。はじめに、アルベニス《スペイン組曲 第1集》より「カディス」Op.47-4です。スペインらしい明るく陽気な空気が漂ってくるようでした。

 続いて演奏されたのは、ファリャ《アンダルシア幻想曲》です。民族色が強く、ラテン系の鮮やかで情熱的な響きが客席を包みました。

 最後に、同じくファリャのバレエ音楽が並びます。今回演奏されたのは、バレエ『三角帽子』より「近所の人たちの踊り」、「粉ひき女の踊り」と、バレエ『恋は魔術師』より「恐怖の踊り」、「火祭の踊り」の4曲です。それぞれの情景が目に浮かんでくような演奏で、とりわけ、「粉ひき女の踊り」での、ギターをかき鳴らしているようなリズムに合わせ魅惑的に踊られている表現や、「火祭の踊り」での息をのむようなダイナミックな演奏は印象的でした。

 これらの演奏を終えられた田隅さんへ、客席から「ブラボー!」の歓声とともに盛大な拍手が贈られました。そして、アンコールのレスピーギ《グレゴリオ聖歌によるプレリュード》では、心に沁み入るようなしっとりとした演奏を聴かせてくださいました。

 非常に盛りだくさんのプログラムで内容の濃い2時間だったように思います。素晴らしい演奏をありがとうございました。

(K.S)

 

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