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リストフェスティバル2011 in 表参道
公開レッスン 開催レポート
「メフィスト・ワルツ 第1番」「愛の夢 第3番」
2011年10月26日(水)13:30開演(13:00開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
主催:東京藝術大学音楽学部 協賛:カワイ音楽振興会
講師:渡辺健二 受講者:東京藝術大学音楽学部学生

 

 リスト・フェスティバルの一貫として行われた本日の公開レッスンでは、リストの代表作として知られる《メフィスト・ワルツ 第1番》および《愛の夢 第3番》がとりあげられました。講師を務められましたのは、東京藝術大学の副学長としてたくさんの学生をレッスンされてきました渡辺健二先生。リストの人物像および作品像をより掘り下げて研究してゆくことに、尽力されています。

 《メフィスト・ワルツ 第1番》では、通常あまり耳にする機会のないオーケストラ版を紹介され、それをふまえた上で、ピアノ版ではどのような表現がふさわしいかを読み解いてゆかれました。特に強調されていたことは、この作品がワルツであることを、常に念頭に置くということ。つい技巧の難しさばかりが注目されがちなこの楽曲ですが、ワルツのリズム感を大切にしながらテンポや曲想を考えてゆくことで、より活き活きとした演奏が可能となります。もう1つ先生がしばしば強調されていたことは、楽曲につけられた題を手掛かりにすること。今回の《メフィスト・ワルツ 第1番》の場合、「村の居酒屋での踊り」という原題と、元となったレーナウの詩があるので、楽曲のどの部分が物語のどんな場面や描写に繋がっているのかを、解釈してゆくことが出来ます。先生のご指導のもと、生徒さんの演奏はみるみるうちに味わい深くなってゆきました。

 《愛の夢 第3番》では、現在有名になっているピアノ独奏版以前に書かれた歌曲版を紹介し、その歌詞内容を考慮した上での演奏探究を行われました。「愛の夢」というタイトルと甘美なメロディーから、ロマンチックな印象の強いこの曲ですが、先生はさらにその奥に潜むアイロニカルなニュアンスを引出してゆかれました。レッスンを聴講されていた方々も、《愛の夢》へのイメージが少し変わったのではないでしょうか。

 渡邊先生のお話からは、リストの各々の作品に対する深い洞察が伺え、非常に充実したレッスン時間でした。今後、リストのピアノ作品の奥深さが、より多くのピアニストによって伝えられてゆくことを願います。

(A. T.)

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