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リストフェスティバル2011 in 表参道
公開講座 開催レポート
2011年10月24日(月)13:30開演(13:00開場)
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
主催:東京藝術大学音楽学部 協賛:カワイ音楽振興会
講師:野本由紀夫(玉川大学教授)

 

 フランツ・リスト生誕200年を記念して行われている「リストフェスティバル」。第3日を迎えた10月24日、カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」で野本由紀夫先生による公開講座が行われました。リストの音楽の本質に迫ろうとするこの講座に多くのリスト好きが集まり、熱心に聴き入っていました。ここでは、2時間に及ぶ講義内容をかいつまんでご報告したいと思います。

 リストの音楽といえば、どのようなイメージを持っていますか。ピアノ曲集《超絶技巧練習曲集》というタイトルからしてテクニックを磨くための道であるとか、当時大変な人気のあったピアニストの見せ物の類である、といったイメージではないでしょうか。ところが、リストとその周辺の音楽を考えると、単純にその通りとは言い切れないのです。

 ベートーヴェン以降、19世紀ロマン派には二大潮流がありました。音楽に内容が「ない」とした絶対音楽、内容が「ある」とした標題音楽の二つです。前者の考えでは、音だけで完結した世界を作るとし、形式にこそ美があるとしました。これに対して、音楽は何らかの内容を伝えるとしたのが後者で、その内容理解の助けとしてタイトルを付けられることが多くありました。この標題音楽Programmusikという言葉を作ったのがまさにリスト。確かに、彼の多くの曲に言葉の内容説明が付いていますね。

 リストと同時代の音楽家たちに目を向けると、いかに標題音楽の流れがのちの音楽に影響を与えたかが分かります。自らリストの影響を認めているヴァーグナー、リストの思想的継承者と言っていいチャイコフスキー、標題付きの音楽によって支配国からの独立を果たそうとした国民楽派。リストの《エステ荘の噴水》がラヴェルやドビュッシーに影響を与えたことは言うまでもありません。

 《超絶技巧》の話に戻りましょう。この曲を前にしたとき、速いテンポでガンガン弾こうと思うなら、もしかしたら改める必要があるかもしれません。テクニックは手段であって目的ではないとリストははっきり言っています。野本先生が強調したように、この曲集の内容である叙情性をきちんと理解してこそリストの音楽の本質に触れられるのではないでしょうか。

 野本先生は馴染みやすい口調で説明し、貴重な資料を示しながら、さらには曲例をその場で弾いてくださったので、大変分かりやすいレクチャーでした。今後、受講者のみなさんがリストのことをもっと深く考えたり、より真に迫った演奏に生かしたりなさることでしょう。

 (T.)

 

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