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ピアニスト 田崎悦子 in Joy of 室内楽シリーズ 第4夜 開催レポート

(Chamber music series Vol.4)
〜ゲスト・アーティスト チェロ 堤 剛氏〜
公開リハーサルから感動コンサートへ&演奏者との懇親パーティー
情熱と個性が火花のようにぶつかりあう、夢の共演!!
2011年10月14日(金)19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 

 ピアニスト・田崎悦子さんは世界的なキャリアをお持ちの演奏家ですが、近年はご自分の演奏活動だけでなく、若い音楽家を育てるためのユニークな活動に積極的に取り組んでおられます。

 「in Joy of 室内楽シリーズ」と題されたこの企画は、田崎さんともう一名の一流ゲスト・アーティストが、若く優秀な演奏家たちと「一緒に弾く」さまを、リハーサル、ゲネプロ、演奏会の三段階にわたって公開するというもの。演奏会当日は座席が足りないほど多くのお客様が集まり、ご自身も演奏家の卵と思われる若い方々の姿が目立ちました。

 各作品の演奏に先立ち、まずは田崎さんとゲストからのお話がありました。舞台に登場早々、感極まって軽く涙ぐまれていた田崎さん。これまでのリハーサルの様子、そして、こうした企画の発案のきっかけとなった、パブロ・カザルスら往年の大演奏家たちとの大切な思い出を語られました。

 そんな彼女が今回のゲスト・アーティストとして選ばれたのが、日本を代表するチェロの巨匠、堤剛さんです。堤さんもまた温かく、熱のこもった語り口で、演奏される作品や、共演そのものの意義についてお話をしてくださいました。音楽家としての圧倒的な奥行きを感じさせるその話しぶりに客席は静まり返り、演奏が始まる前から期待が高まります。

 最初に演奏されたのは、モーツァルトの《ピアノ三重奏曲第4番 変ロ長調 KV.502》です。ピアノの佐野良太さんは、モーツァルトの音楽のあらゆる機微を逃すまいとするように、隅々まで真摯に耳を澄ませながら、しかも小さくまとまってしまうことなく、演奏されていたのが印象的でした。ヴァイオリンの城所素雅さんは素直で自由闊達な歌心が光り、チェロの堤さんはさりげなくも絶妙なタイミングで音楽を支えます。そこには日常を忘れさせるような特別な時間が流れていました。

 つづいては、田崎さんと堤さんのデュオで、フランクの《ソナタ イ長調》(原曲はヴァイオリン・ソナタ)です。気品のある深い音色で、二つの楽器が一つに溶け合い、情熱的でありながら決して破綻をきたすことなく昇りつめていくさまは、さながら壮大なドラマを目の当たりにしているようです。ありふれた言葉ではありますが、まさに円熟の極みといったところでしょうか。大喝采が鳴りやみませんでした。

 休憩をはさみ、最後にシューマンの《ピアノ四重奏曲変ホ長調 Op.47》が演奏されました。ヴァイオリンの富井ちえりさん、ヴィオラの会田莉凡さんは、お若いにもかかわらず、非常に密度の高い、雄弁な演奏をなさっていました。大家のお二人との共演ですが、演奏からは「先生と生徒」というような一方的な上下関係は全く感じられず、音楽の前では誰もがただ一心になる、ということだけを思いました。アンサンブルの極意とでもいうのか、単にタイミングが合う、呼吸が合うといったレヴェルをはるかに超えて、メンバー全員の音楽が一点に向かって収斂していく様子がありありと伝わってきます。「男とか女とか、年齢の差とかいった違いを超えて、一緒に何かを創っていくこと」――はじめに堤さんがおっしゃっていたこの言葉を、実際の演奏を通じて改めてかみしめることとなりました。

 休憩時間や演奏後には、文字通り目を輝かせて「凄いね!」「涙が出た!」と興奮気味に話されているお客さまも。そこに集うあらゆる方々の、音楽へのひたむきな愛情を感じさせられる、素晴らしい演奏会でした。

(N.J.)

田崎悦子氏のホームページ速報! http://www.etsko.jp/report/2011-1012.html 

 

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