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鳥山明日香 ピアノリサイタル 開催レポート
2011年9月28日(水) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 9月28日パウゼにて、鳥山明日香さんのピアノリサイタルが開催されました。鳥山さんは、桐朋女子高等学校音楽科、桐朋学園大学音楽学部ピアノ科を卒業後、ハンガリー国立リスト音楽院とパリ・エコールノルマル音楽院にて研鑽を積まれ、現在は演奏活動を精力的に行われている傍ら、常葉学園短期大学音楽科ピアノ科にて後進の指導に力を注がれています。

 この日、会場はピアノを習い始められたような小さなお子さんや、今回初めてリサイタルに来られた方々など幅広い層のお客様で埋め尽くされていました。

 プログラムは、シューベルト、ラフマニノフ、リストの作品で構成されており、鳥山さんのわかりやすく、心の込もった解説を交えながら進められました。

 冒頭に演奏されたシューベルト《即興曲 変ト長調 作品90-3》では、爽やかな音色で、和声を細かく表情豊かに変化させながら、旋律を伸びやかに歌われ、その純粋で温かみのある演奏に、会場の皆様はうっとりと聴き入られているようでした

 続いて、ラフマニノフの前奏曲です。今回演奏されたのは、『鐘』という名で広く親しまれている《前奏曲 嬰ハ短調 作品3-2》と、《前奏曲集 作品23》より〈第2曲 変ロ長調〉、〈第4曲 ニ長調〉、〈第5曲 ト短調〉、〈第6曲 変ホ長調〉、〈第7曲 ハ短調〉です。これらを演奏される際に、鳥山さんはラフマニノフの音楽における3つの特徴についてお話し下さいました。それらの特徴とは、「ロシアの広大な大地を思わせるような息の長い旋律。」「ルバート(ある一定のテンポの中で緩急などの様々な表情を付けてゆくこと)が、心臓の鼓動のように、巨大なうねりの中で思いきりできる。」「メロディが鮮やかなイントネーションを持っている。」というものです。以上のことから、ラフマニノフの音楽は、心に直接訴えかけるような音楽であろうと述べられていました。実際に演奏を聴いたとき、鳥山さんがお話しされた特徴がいずれの前奏曲にも鮮明に表れており、ラフマニノフの音楽が持つ独特の世界観やロマンティシズムを存分に味わうことができました。

 後半は、今年生誕200周年を迎えたリストの《ソナタ ロ短調》です。この作品は、演奏時間が約30分もある大曲ですが、わずか4つの主題から成り立っており、それらの主題が一つの大きな物語のように、様々な形に変容して行くということを、実際にピアノを用いながら4つの主題の特徴や作品の背景について解説して下さいました。鳥山さんの演奏は、リストらしい鮮やかな技巧と華麗さはもちろんのこと、細部まで非常にコントロールが行き届いており、例えば不気味な性格から美しく穏やかな性格になるなど、それぞれの主題が様々な形に変容していく過程が楽しめ、あっという間に時間が過ぎて行ったと同時に、この作品の持つ素晴らしさや奥深さを改めて実感させられました。

 これらのプログラムを見事に弾き終えられた鳥山さんに、超満員の会場から盛大な拍手が送られ、リサイタルが締めくくられました。それぞれの作品の聴きどころや魅力が十分に表現された解説と、非常に上質な演奏を聴かせてくださった鳥山さんのリサイタルに、お客様も大変満足され会場を後にされているようでした。

(K.S)

 

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