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岸 美奈子 ピアノリサイタル 開催レポート
〜組曲の夕べ〜
2011年9月27日(火) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:津田ホール

 

 9月27日、東京・千駄ヶ谷の津田ホールにて、東京藝術大学出身の気鋭の若手ピアニスト、岸美奈子さんのリサイタルが開催されました。会場はお子さんから年配の方まで幅広い世代のお客様がつめかけ、開場15分前には既に階下に至る長蛇の列ができていました。

 この日のリサイタルのテーマは「組曲の夕べ」。バロックから20世紀まで、異なる雰囲気を持つ三つの組曲を組み合わせた、魅力的なプログラムです。

 最初に演奏されたのは、組曲というジャンルの王道、バッハの《イギリス組曲第3番》でした。各舞曲のリズムや性格を十分に引き立たせる立体感のある表現で、手堅くまとめられていました。

 続いては、ラヴェルの新古典主義時代の作品、《クープランの墓》です。バッハの時とは色調ががらりと変化し、洗練された軽やかなタッチによって瞬く間にフランス的な夢幻の世界に導かれます。組曲の最後を飾る難曲〈トッカータ〉では、技術的な難易度を微塵も感じさせない見事な演奏で会場を圧倒。粒のそろった同音連打や、抒情的な旋律の歌い回しが印象的でした。

 休憩をはさみ、後半ではロシアを代表する組曲ともいうべき、ムソルグスキーの《展覧会の絵》が演奏されました。組曲を構成する沢山の「絵」のなかでも、〈テュイルリーの庭〉や〈卵の殻をつけた雛のバレエ〉といった軽快な曲では、岸さんのチャーミングな持ち味がひと際輝いていました。一方、喧しい〈リモージュの市場〉から不気味な〈カタコンブ〉への突入の瞬間や、〈死せる言葉による死者への呼びかけ〉における神秘的なトレモロ、劇的な疾走感にあふれる〈鶏の足の上に立つ小屋〉の演奏もまた、特筆すべきものでした。

 アンコールには、やはりロシアの作曲家による小品を三つ(リャードフの《音楽の玉手箱》、リムスキー=コルサコフの《熊蜂の飛行》、ラフマニノフの《音の絵 作品39の9》)。愛らしい曲からヴィルトゥオーゾ(名人芸)的な技巧の光る作品まで、岸さんは生き生きとした表情で、実に楽しそうに演奏されていました。

 現在は武蔵野音楽大学で後進の指導にあたりながら、幅広い演奏活動に取り組んでおられる岸さん。これからの一層のご活躍が楽しみです。

(N. J.)

 

 終演後の打ち上げにて

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