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北川曉子&靖子 サロンコンサート vol.8 開催レポート
〜ブラームスの夕べ〜
2011年
9月2日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン パウゼ

 9月2日、北川曉子さんと靖子さんのサロンコンサートがありました。日中は残暑が続いていましたが、夕方には涼しくなり、今回のコンサートにも多くのお客様が集まりました。お二方のデュオを聴けるこのコンサートシリーズは今回で第8回目。今回はブラームスの夕べと題し、ブラームスの〈ピアノとヴァイオリンのためのソナタ〉を中心に据えたプログラムです。

 まず、ブラームスの先達ベートーヴェンのソナタ第8番ト長調(作品30-3)で始まりました。冒頭楽章ではピアノとヴァイオリンのユニゾンの上行・下行音型が快活な動きで響きました。自然体での音楽の運びと、確固とした進行性が聴き手に安心感を与える演奏でした。第2楽章Tempo di minuettoでは、ヴァイオリンのG線上の音が充実して豊かに響いていて、うっとり聴き入っていました。

 さて、ブラームスについては、〈ピアノとヴァイオリンのためのソナタ〉第1番と第2番、その間にピアノソロで〈7つの幻想曲〉の演奏です。ソナタ第1番は「雨の歌」の通称で知られる名曲(作品78)。ヴァイオリンとピアノの絶妙の掛け合いが心に響く演奏でした。第2楽章Adagioのゆっくりとした曲調のなかのクライマックスでは、オーケストラを思わせるほどの音量と迫力があり、スケールの大きさが印象に残りました。

 曉子さんによるピアノソロでは、自由に流れを身を任せられそうな、幻想曲特有の節回しに、時を忘れるかのような感覚になり、消えゆく音の余韻に浸りながら聴きました。

 最後のソナタ第2番イ長調(作品100)では、他にはないお二人の音楽が会場全体を満たしました。3つの楽章を通して、ヴァイオリンによって歌われる旋律が大変叙情的に美しく演奏されました。激しい起伏はないものの、曲調のゆったりとした変化を味わい楽しめたのは、お二方が一体となって音楽を紡いでいったからに他なりません。弾き終わると、聴衆は大満足の拍手を送りました。ステージでお二人が握手しあう姿に強い絆を感じました。

(T.)

 

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