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関野直樹&マルティノヴィチ ピアノジョイントリサイタル 開催レポート

2011年
8月30日(火) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

今日は、モンテネグロの世界遺産都市コトールで行われた「コトール・アート」というフェスティバルで出会ったお二人、ピアニストの関野直樹さんとラティミール・マルティノヴィチさんのジョイント・コンサートです。

 はじめに演奏して下さったのは関野さん。「ピアノをあたためるために」というプレトークの後、ショパン《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ 変ホ長調》とリスト《愛の夢》《ラ・カンパネラ》を弾いて下さいました。ショパンは「ピアノの詩人」、リストは「ピアノの魔術師」と呼ばれるように、彼らの作品はとても高度なテクニックが求められ弾きこなすのも難しい曲ばかりですが、関野さんの華麗で情熱的な演奏で聴くことができました。最後は、ガーシュウィン《ラプソディ・イン・ブルー》(ピアノ・ソロ版)。この曲はシンフォニック・ジャズと呼ばれるもので、クラシック音楽とジャズの語法が融合した作品です。この洒落っ気たっぷりの曲は、スタイリッシュな関野さんの音楽によくマッチしていました。

 関野さんもすらりと背の高い方でしたが、続いて舞台に現れたマルティノヴィチさんもとても大きな方で、カワイコンサートグランド・ピアノが小さく見えてしまうほどでした。こんなダイナミックな空気をまとったピアニストが、バッハやモーツァルトの作品をどんな風に弾くのか楽しみに思いながらホールに音が広がるのを暫し待ちます。静かに始まった一曲目は、バッハ《プレリュード ロ短調》BWV 855をジロティが編曲したもの。演奏からは繊細な感性が滲み出ており、ポリフォニーの作品をよく読み込んで、ご自分の世界の中に再構築なさっている印象を受けました。続いて、モーツァルト《キラキラ星変奏曲》、《幻想曲 第3番》、バッハ《アリアとイタリア風変奏曲 イ短調》、《シャコンヌ(ヴァイオリンのためのパルティータ)ニ短調》(ブゾーニ編曲)、いずれも二本の手で奏でられる複数の声部に各々独立したキャラクターが宿っており、それらの絡み合う様子が生き生きと伝わってきました。

 レパートリーの違いもさることながら、対照的なセンスをもつピアニストの共演を楽しく聴くことができました。ありがとうございました。

(A.N)

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