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田中克己 PIANO TRIO 開催レポート

〜室内楽への誘い 2011〜
2011年
8月26日(金) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 神田川が増水してメトロが一時止まってしまうほどの大雨に見舞われましたが、今夜もカワイ表参道コンサート・サロン「パウゼ」には、たくさんのお客様にお集り頂きました。雨の日の憂鬱も爽やかな音楽を聴けば自然と晴れていきます。

 本日の演奏は、ピアニスト田中克巳さんと、伊藤亮太郎さん(ヴァイオリン)、平田昌平さん(チェロ)によるピアノ・トリオです。プログラムの一曲目は、ヴォルフ=フェラーリの《ピアノ三重奏曲 第2番 嬰へ長調》Op. 7。静かなピアノ・ソロに始まり一つの小休止を経て、ヴァイオリンとチェロが半音階下行していくピアノの伴奏にのってフォルテシモで堂々と登場します。思わず息を呑むほどドラマティックな冒頭で、コンサートの始まりに相応しいものです。とても堅実なアンサンブルで安定感があり、落ち着いて聴くことができました。

 続いて演奏された、《ピアノ三重奏曲 第3番 へ短調》Op. 65は、チェコを代表するロマン派の作曲家ドヴォルザークの作品とあって、スラヴ舞曲を思わせる独特の空気が音楽のスパイスとなっています。異国情緒あふれるリズムがうまく表現されていました。

 休憩中には、プログラム冊子の左下に貼られていたシールの謎が解かれました。なんと、シールの色が「赤」であれば、田中さんからプレゼントをもらえるというのです!中身は秘密とのことでしたが、気になります。

 最後のプログラムは、シューベルトの《ピアノ三重奏曲 第1番 変ロ長調》Op. 99です。名曲中の名曲とも言える素晴らしい作品で、シンプルな美しさゆえにテクニックが問われますが、とても息のあったアンサンブルで聴くことができました。

 アンコールには普久原恒勇の《芭蕉布》が演奏され、ホールに沖縄の風が広がって、夏らしい想い出に残る演奏会が締め括られました。本日のコンサートは正に東日本大震災がおこった3月11日に行われる予定でしたが、延期して開催されたものです。あの大地震が起きたときは、ちょうどリハーサルの最中だったとのこと。改めて、平和にコンサートを聴くことのできる日常に感謝する一日となりました。

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