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クロイツァー記念会 第35回例会
クロイツァー賞受賞者による演奏会 開催レポート
2011年7月2日(土) 14:00開演(13:30開場)
会場:
津田ホール

  

 7月2日、津田ホールにてクロイツァー賞受賞者による演奏会が開催されました。これは、今春東京芸術大学、国立音楽大学、武蔵野音楽大学の大学院ピアノ専攻を修了した人の中から優秀な方におくられるクロイツァー賞を受賞した3名による演奏会です。将来有望な若いピアニストの演奏を聴こうと、多くのお客様が足を運び、開場前には長い列ができていたほどでした。

 最初に演奏した金子淳さんは、武蔵野音楽大学大学院を修了された方です。ラフマニノフ《幻想的小品集》作品3より第2番〈前奏曲 嬰ハ短調〉、「鐘」として親しまれている名曲から始まりました。しなやかな指さばきから生まれる豊かな響きで、スケールの大きな世界を展開していました。続くショパン《スケルツォ 第3番 嬰ハ短調》作品39では、切れ味の良いフレーズ作りが印象的でした。最後は、再びラフマニノフの大曲《ソナタ 第2番 変ロ短調》作品36。最近主流の改訂版ではなく、1913年初版が用いられていました。高度なテクニックでヴィルトゥオーソ的なパッセージを弾きこなし、まさにラフマニノフ!という甘い旋律も魅力的に歌わせる、素晴らしい演奏でした。

 国立音楽大学大学院を修了された中島香さんは、ポーランド出身の作曲家シマノフスキの作品でプログラムを構成。まずは《20のマズルカ 作品50》より第1,2,3,4番が演奏されました。中島さんの演奏は、繊細にコントロールされた和声やペダリングで、非常にエレガントな音楽作りが素敵でした。そしてこの特質は、次のやはり国民色が表れている《ポーランド民謡の主題による変奏曲》作品10でも、発揮されていました。ここでは刻々と表情を変えるそれぞれの変奏を、甘美に表現していました。

 最後は、東京芸術大学大学院を修了された入江一雄さんで、ショスタコーヴィチの作品が並びました。《24の前奏曲とフーガ》作品87より、第1番ハ長調、第15番変ニ長調、第22番ト短調では、シンプルな中にも、芯の強さがあり、非常に説得力のある演奏でした。とりわけ圧巻だったのが、次の《ソナタ 第1番》作品12です。これは、とても前衛的とされる作品で、不協和音や打楽器的に和音を連打する箇所なども多く出てくるのですが、それらを圧倒的な集中力で会場中に響かせ、またその余韻の扱いも非常に考えつくされたものでした。抜群のリズム感を備えたエネルギッシュな演奏は、見事としか言いようがありません。

 最後に3名全員が再び舞台に登場し、盛大な拍手が贈られました。今後、さらにピアニストとして経験を重ね、活躍されることを期待しています。

(M. K.)

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