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日本ショパン協会 第255回例会
村田理夏子ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.12》
2011年6月25日(土) 18:30開演( 18:00開場)
主催:日本ショパン協会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
6月25日夜、表参道パウゼにて、日本ショパン協会主催「村田理夏子 ピアノ・リサイタル」が開催されました。夕方から小雨が降ったりやんだりのぐずついたお天気でしたが、会場はほぼ満員、多くのお客様が足を運んで下さいました。本日のピアニストである村田理夏子さんは、東京藝術大学卒業後、ドイツ政府給費留学生としてベルリン芸術大学へ留学、現在はそのベルリン芸術大学で講師を務め、後進の指導にあたっていらっしゃいます。その傍ら演奏活動も盛んで、最近ではピアノ・デュオ活動を本格化され、またベルリンフィルハーモニーホールでのピアノ協奏曲の公演は、すでに20回近くに及ぶそうです。
さて、今日は前半にドビュッシー《前奏曲》第1巻より4曲とショパン《ピアノ・ソナタ 第3番》を、休憩をはさんで後半にはシューマン《クライスレリアーナ》を聴かせて下さいました。各作曲家の重要作品が並び、大変聴きごたえのあるプログラムでした。
最初のドビュッシーでは順に、第1番〈デルフィの舞姫〉、第11番〈パックの踊り〉、第10番〈沈める寺〉、第7番〈西風の見たもの〉を演奏されました。特に、〈パックの踊り〉では無邪気に動き回る妖精パックの姿を、〈沈める寺〉では水中から巨大な寺が現れる様子を、見事に表現されていました。まるで目の前にその光景が広がっていくかのようでした。
ショパンでは、緩急の表現が絶妙でした。第1楽章冒頭や第4楽章は、超絶技巧による華麗さやショパンの力強く雄大な側面が際立った演奏でした。その一方で、第2楽章や第3楽章では村田さんの優しく温かな音色が印象的で、またフレーズの長い旋律を一息で歌い上げることで、ショパンの美しい旋律がいっそう美しさを増していたように思います。
休憩後はいよいよ、シューマン《クライスレリアーナ》でした。クライスレリアーナという表題はE. T. A. ホフマンの短編集に登場する楽長クライスラーに由来し、この曲の文学的な詩情の解釈は非常に難解です。この曲は8曲から構成されていますが、8曲それぞれから村田さんの確固とした解釈が感じられ、さらに最終的には個々の曲が1つの表現へと統一され、非常によく考えられた構想でした。素晴らしい演奏にお客様も大満足だったようです。
これからも素晴らしい音楽を聴かせていただきたいです。
(A・H)
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