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山田章代 ピアノリサイタル 開催レポート
《桐朋学園 表参道 サロンコンサートシリーズVol.13》
2011年6月15日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 6月15日の晩、「パウゼ」で山田章代さんのピアノリサイタルがありました。山田さんは桐朋学園大学音楽学部を卒業、同大学研究科修了後、ドイツへ留学し研鑽を積み、現在は後進の指導にあたる傍ら演奏活動を行っているピアニストです。会場には桐朋関係者が多く集まりました。プログラムは、よく知られた作曲家の華やかな曲が中心に組まれていて、客席は演奏が始まるのを楽しみにしていました。

 赤いロングドレスで登場した山田さんが最初に演奏したのは、モーツァルトのピアノ・ソナタイ短調(K. 310)。短調の曲が珍しいモーツァルトにあって、この曲には悲愴な感情が表れていると言われますが、ふとした音使いに甘美な響きが聞こえてくるのも魅力です。指のすばやい動きや左手の和音連打など、技術的に高いレベルが要求されるポイントは大変素晴らしく、全体の構成の中でいろいろな種類の音がピアノ全体でバランスよく鳴っている演奏でした。

 次はシューベルトの歌曲をリストがピアノ編曲したものから2曲。〈水に寄せて歌う〉では歌の旋律だけでなく、リストらしいとても華やかな伴奏部分も、ピアノ音楽の喜びを高らかに表現していました。ピアノ五重奏曲でも有名な〈鱒〉では、「ピアノの魔術師」(リストのこと)らしい箇所、たとえば素早い下行パッセージなどを淀みなくきれいに聞かせてくださいました。

 高い技術力をお持ちの山田さん、ショパンの《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》では音色面でも磨かれたものを聞かせてくださいました。特に音量が小さいときの細やかできらびやかな音は何物にも変えがたい輝きを放っていて、聴衆は身を乗り出して聞き入っていました。

 プログラムの最後はシューベルトのピアノ・ソナタト長調《幻想》です。激しい感情の移り変わりというよりは、深いところでたゆたう大きな波が心地よい、といった印象の曲で、実際かなり難しい曲です。しかし演奏は難なく軽やかに進んでいき、レベルの高さをうかがわせました。テクニカルではあっても幻想的な雰囲気を大切にした演奏に、惜しみない拍手が送られました。

 アンコールにショパンのワルツとスクリャービンのエチュードを弾いてくださいました。前者では長いフレーズが美しく端正な演奏、後者では技巧の贅を尽くした演奏で客席を沸かせました。山田さんの今後のご活躍に注目です。

(T.)

  

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