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ピアノレパートリー 講座 〜北欧・ロシア編〜 Vol.2 開催レポート
「J.シベリウスとピアノ音楽」
2011年5月20日(金) 開場10:00 開講 10:30 (10:30〜12:30)
講師:
南雲竜太郎
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 5月20日パウゼにて、南雲竜太郎先生の「ピアノレパートリー講座〜北欧・ロシア編〜」が行われました。第2回目となる今回は、フィンランドが誇る作曲家シベリウスのピアノ音楽についてです。会場にはピアノ教師の方々をはじめ、多くのお客様がいらしており、先生のお話しに熱心に耳を傾けておられました。

 はじめに、フィンランドという国のことも交え、シベリウスのピアノ音楽の特徴などを簡単にご説明下さいました。フィンランドは森と湖に囲まれていることから、国民は自然と静寂を愛しており、シベリウスの作品はこうした自然への愛が現れていることや、彼が生きた1865年から1957年、フィンランドは長い間ロシアの支配下にあり、1917年に独立するまでの時期と重なっているため、シベリウスの音楽作品にそうした背景が反映されており、叙事的でフィンランド人の国民性などが強く表れているとのことです。

 続いて、シベリウスの生涯をたどりながら、彼のピアノ音楽ついて、実演を交え解説して下さいました。

 まずは、初期(1909年まで)の作品についてです。ここでは、≪即興曲 ロ短調Op.5-5≫、≪カプリス ロ短調Op.24-3≫、≪ロマンス 変ニ長調Op.24-9≫をとりあげられました。シベリウスは、ヘルシンキ音楽院卒業後、ベルリンとウィーンにて研鑽を積みます。そして、1900年のパリ万博で自作を指揮したことをきっかけに、ヨーロッパやアメリカで活躍し、世界的に名声が上がります。そうした背景があるためか、この頃の作品は、若々しく技巧的であることが特徴とのことです。2011年5月20日(金) 開場10:00 開講 10:30 (10:30〜12:30)

 中期(1910年〜1919年)では、≪故郷にてOp.74-1≫、≪ピヒラヤの花咲く時Op.75-1≫、≪樅の木Op.75-5≫、≪金魚草Op.85-5 ≫、≪つりがね草Op.85-5≫、≪ハープ弾き≫、をとりあげられました。いずれも初期の作品に比べ、内向的で、シンプルかつ洗練されたものとなっていきます。また、曲名がそのまま作品の表現につながるキャラクターピースとしての性格が強くなりますが、シベリウスの作品は、題材となるものをただ描写しているというのではなく、色々な場面に対する心の印象が表現されているとも解説して下さいました。

 後期(1920年〜1929年)は、例えば≪ソネットOp.94-3≫、≪即興曲 ハ長調Op.99-4≫、≪クープレOp.99-5≫のように、一見、曲のエッセンスだけがさらさらと書きとめられたかと思われるほど、一曲一曲が非常に短く、さらにシンプルになります。

 そして、≪ロマンティックな情景Op.101-5≫、≪村の教会Op.103-1≫、≪風景Op.114-1≫では、人生を回想するように、ますます内向的で枯れきったような曲想になっているとのことです。

 最後に、シベリウスのピアノ音楽は、同時代の他の作曲家たちが新しい作曲技法を求めていったのとは反対に、古典的かつ保守的なスタイルで作曲されていますが、その中にシベリウスの個性が表れていることなどもお話し下さいました。

 彼のピアノ音楽は、短くてシンプルな作品が多いですが、そのどれもが非常に味わい深く、また、フィンランドに対する強い愛国心が込められていることを実感できた大変有意義な講座でした。作曲家とその音楽についての魅力が存分に味わえる南雲先生の「ピアノレパートリー講座」、次回は「チャイコフスキー」7月29日に開催されます。今から非常に楽しみです。

(K.S) 

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