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田中あかね ピアノリサイタル 開催レポート
“ボンの町から Vol.4 〜 標題音楽 〜”
2011年
5月15日(日) 14:00開演( 13:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 2009年から開かれている田中あかねさんのリサイタル・シリーズは、本日で第4回目を迎えます。今回のテーマは「標題音楽」。自然や文学など、音楽外の具体的なイメージをきっかけに創られた音楽のことをこのようにいいますが、今回は田中さんが得意とするベートーヴェン、リスト、シューマンの「標題音楽」の名曲を集めた、魅力的な内容でした。長い間ドイツに滞在されていた田中さんならではの意欲的なプログラムを聴いてみようと、「パウゼ」には多くの方々が駆け付けました。

 最初の曲は、田中さんにとって特に思い入れの強い作曲家・ベートーヴェンの《ピアノ・ソナタ第26番》変ホ長調作品81a「告別」です。クリアな音色で情感たっぷりに美しい旋律を歌い上げました。さすが名匠・ゲルハルト・オピッツ氏のもとで研鑽を積まれていただけあり、決して感情過多になることなく、明快でストレートな表現が特徴的です。

 続いて今年生誕200年を迎えるリストの作品《パガニーニ大練習曲》より「ラ・カンパネラ」、《コンソレーション第3番》、《メフィスト・ワルツ》を演奏。より高度なテクニックが冴えわたる、豪快な演奏でした。とりわけ「ラ・カンパネラ」は高音のきらきら光るような音色が美しく、演奏後に歓声が起きるほどの好評ぶりでした!

 休憩をはさみ、後半はシューマンの《幻想小曲集》作品12です。曲ごとの性格をよくとらえ、まるで物語を語りかけるかのような演奏を繰り広げました。「夕べに」や「なぜに」での夢見心地な雰囲気から、「飛翔」での激しく情熱的な世界まで、しっかりと自分の音で表現されていたのが印象的でした。

 音を通して様々な風景や情景が浮かんでくるかのような素敵な演奏会でした。まさに「正統派」といえる名作を情感豊かな演奏で聴かせて下さる田中さん。是非今後も田中さんならではの切り口でリサイタル・シリーズを続けていただきたいと思います!

(M.S.)

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