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楠 尚子&大室晃子 〜ヴァイオリンとピアノの夕べ〜 開催レポート
2011年5月12日(木) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 5月12日、あいにくの天気にもかかわらず、表参道「パウゼ」にはたくさんの方々がお見えになりました。ヴァイオリニスト楠尚子さんとピアニスト大室晃子さんによるコンサートが開かれました。お二人は数年前ドイツ留学から帰国され、現在は演奏活動と並んで後進の指導もなさっています。プログラムはヴァイオリンとピアノ両方が主役としての役割を持っているものが組まれています。

 最初の曲目は、ベートーヴェンの《ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第8番》(作品30-3)ト長調です。第1楽章はとても開放的で躍動感にあふれた曲です。印象的なユニゾンで始まり、おもちゃ箱を開けた瞬間のように喜びに満ちたたくさんの音が飛び出して、始まってすぐに私たちの耳を釘づけにしました。第2楽章はヴァイオリンの中音域の音色がとても魅力的でした。この楽章に限りませんが、ヴァイオリンだけでなく、ピアノの右手パートが主役になる部分もあり、その交代が両奏者の確固たる信頼感に基づいていると感じさせる親密なアンサンブルで、聴いていてとても心地よかったです。第3楽章は快速なロンド楽章で、リズミカルで遊び心のある曲です。何度も繰り返し登場する主題をお二人はとても端正に演奏し、凛とした美しさを感じました。

 次はブラームスの《ピアノとヴァイオリンのためのソナタ第1番》(作品78)ト長調。第3楽章冒頭に「雨の歌」の旋律が用いられていることで有名な曲です。のびやかでピアノに寄り添うヴァイオリンの音色、またヴァイオリンを支え、時にはメロディーを奏でる包容力あるピアノの音色が相まって、凝縮された室内楽の深みある世界を感じました。

 後半はフランクの《ピアノとヴァイオリンのためのソナタ》イ長調です。第1楽章の冒頭でゆりかごのようにたゆたう旋律線は、聴き手を遠くの世界に連れて行くかのようで、やがて聴き手をフランク独特の音世界に没頭させました。特に最終楽章での広々とした楽想はクライマックスにふさわしく壮大に奏され、ヴァイオリンとピアノが一体となって高みへのぼりつめていく部分では、これ以上ないほどの高揚感を受けました。

 最後に、アンコール演奏のシューマン《3つのロマンス》(Op. 94)より第2曲では、内向きでありながらポジティブなメッセージを感じました。この演奏会はもともと3月に開催の予定が延期になったものです。この日、会場に居合わせたすべての人が、音楽の力が人の心にもたらす大きな力を感じたことと思います。

(T.)

 

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