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KMAP
中井正子公開講座 開催レポート
〜ピアノテクニックシリーズ第4回(全5回シリーズ)〜
2011年9月8日(木) 10:30 開演(10:30〜12:30)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
今日は、中井正子先生による公開講座『ピアノテクニックシリーズ』の第4回目が行われました。今回のテーマは、モーツァルトのソナタと幻想曲です。朝早くから、たくさんの方々が楽譜を片手にカワイ表参道コンサート・サロン「パウゼ」へいらっしゃいました。講座のメインとなる曲は、モーツァルトの《ソナタ K 331》(トルコ行進付き)です。第1楽章は変奏曲。冒頭に提示される2つのテーマは、最後まで変奏されていくので、いかにこの部分を解釈するかが全体に通じる大切な鍵となります。先生もここに重点を置き、まずは4小節が1つで繋がるように一息で弾いてみましょう、と仰って、冒頭のテーマを弾いて下さいました。一息で弾こうと思っても旋律の音高は上がったり下がったりしているため、先生のように一つのラインに繋げるのが難しいのですが、音の高さが降りていくならばテンションを静めながら、上がるならばテンションを高めながら弾けば、自然に聴こえると教えて下さりました。第1変奏のところでは、先生がピアノを弾き、受講者全員でテーマを歌う、という練習をしました。自ら歌ってみると、どこにテーマがあるかよく分かりますし、どのように変奏されたかも見えてきます。
テクニックとしては、モーツァルトの作品なので指を伸ばすのではなく丸めて、手の中に音の響きを包み込むように弾くとよい、とのこと。どのようなテクニックが正しいかというよりも、どのように表現するかが重要で、それを実現できる技術で弾きましょう、とも仰っていました。
また、モーツァルトの時代においてはメロディと伴奏の区別が明確になるので、まずは主旋律が聴こえるように、伴奏はその旋律を潰さないように、それでいてハーモニーの移り変わりを表現するようご指導頂きました。分散和音になっていれば、まずは一つの和音に戻してみるなどして、ハーモニーで捉える練習が大事だと教えて下さりました。ハーモニーの中でも特に大切な音は、手の重心を大事な音の方に向けると、自然と強調されます。楽譜に「フォルテ」とあっても、ガン!と強く弾いてしまわずに、フォルテピアノ(当時使われていた楽器)で奏でられる「フォルテ」をイメージしながら弾くと「モーツァルトのフォルテ」の響きになるそうです。
6つの変奏、続く2, 3楽章でも細かいご指摘をたくさん頂いたのですが、文字数の制限もありますので、このくらいに。最終楽章について先生も仰っていましたが、「トルコ行進曲」として親しまれているこの曲は、”Alla Turca トルコ風に”と楽譜に記されています。ウィーンの人々にとって元々攻め込んでくる存在であった「トルコ」という言葉に切迫感のようなものを感じ取ることができれば、というお話がありました。音符だけではなく、楽譜に記された言葉も音楽をイメージする鍵になります。
《ソナタK 330, 333》の第1楽章、《ファンタジー ニ短調 K 397》は急ぎ足でのレクチャーになりましたが、始めのソナタで教えて頂いたことも応用できそうです。中井先生、今日は充実したレッスンをありがとうございました。次回は10月19日(水)。ショパンの幻想即興曲とワルツを取り上げて下さる予定です。
(A. N.)
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