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日本ショパン協会 第254回例会
木村佳野ピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.11》
2011年
4月23日(土) 18:30開演( 18:00開場)
主催:日本ショパン協会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 日本ショパン協会第254回例会が「パウゼ」で開催されました。今回の出演者は木村佳野さん。桐朋学園大学卒業後、イギリス、フランスなどで研鑽を積まれ、海外コンクールでの優勝経験も豊富なピアニストです。当日は雨の中、非常に多くのお客様がお集まりになり、会場は満席。お年寄りから子供まで、皆さま木村さんの演奏を楽しみに待っておられるようでした。

 本日のテーマは「ショパンと同時代を生きた作曲家達」ということで、ショパンを中心に、同時代のリストとシューマンの作品が演奏されました。

 春を連想させるエメラルドの素敵なドレスで舞台に登場された木村さん。ショパンの《4つのマズルカ》作品17、《ワルツ作品34−3&作品64−1(子犬のワルツ)》、《舟歌》というように、ジャンルの異なる様々な名曲を演奏。持ち味のクリアで美しい音色を響かせ、それぞれの作品を巧みに弾き分けていたのが印象的でした。

 続いてはリストの《スケルツォ&マーチ》。筆者はリストの作品が大好きで、演奏会で何回も聴いてきましたが、この作品は今回が初めて。どんな曲だろうと、楽しみにしていたのですが、さすが「音の魔術師」と呼ばれたリストらしく、技巧的な荒々しい作品でした。鍵盤をものすごい速度で駆け回る木村さんの高度なテクニックが際立つ演奏でした。

 休憩をはさみ、後半は黒のドレスに衣装替えしての登場です。シューマン:《ソナタ第2番》ト短調作品22での激しく荒れ狂うような世界、ショパン:《ソナタ第2番》変ロ短調作品35の「葬送行進曲」での深い悲しみに沈む重々しい足取りなど、それぞれの素晴らしいソナタの世界を見事に表現されていました。

 最後はショパンの《バラード第4番》ヘ短調作品52です。筆者もこの作品のスケールの大きく感動的な世界は特に好きで、演奏を楽しみにしていました。木村さんの演奏は、冒頭、シンプルな部分を優しく演奏する時の音色の美しさが特に印象的でした。やがて、そのテーマも複数の声部が重なりあい、複雑な響きとなっていきます。荒れ狂うようなコーダを見事に弾き切り、プログラム最後にふさわしい、堂々とした演奏を繰り広げました。

 アンコールもシューマン:《トロイメライ》、ショパン:《練習曲集》より「作品10−4」、リスト:《愛の夢》の3曲、と盛り沢山の内容。名曲揃いの充実した演奏会を堪能させていただきました。

 今回、東北はもちろんのこと、首都圏でも余震など様々な不安が続く中の演奏会でしたが、そんなときこそ、人々の心に語りかける音楽の力は決して小さくはないのだと、木村さんの演奏を聴きながら感じました。なお、演奏会の収益は全て被災地への義援金として寄付されるとのこと。そんなところにも、音楽家としてできることを可能な限り実行する、木村さんの意志の強さと目的意識の高さが感じられました。

(M.S.)

 

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