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阿部裕之 ピアノリサイタル 開催レポート
2011年2月24日(木) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 2月24日パウゼにて、阿部裕之さんのリサイタルが開催されました。阿部さんは、東京芸術大学大学院を修了後、ドイツ、フランスで研鑽を積まれ、精力的にご活躍されており、また、京都市立芸術大学教授としても教鞭をとられています。

 プログラム前半は、ショパンの晩年の作品が2曲です。冒頭の≪ノクターン ホ長調 Op.62-2≫では、くっきりと澄んだ音色で丁寧に演奏され、とくに細かなパッセージでは、羽が舞うような繊細な美しさを感じられました。

 続いて、≪ソナタ 第3番 ロ短調 Op.58≫です。この作品は、体調の悪化や、愛人サンドとの不仲、父親の死などで、心身共につらい時期に作曲されています。阿部さんは、全体をあまり揺らすことなく、しっかりとしたテンポを保ちながらも、表情豊かな音色で、作品の背景を連想させるような、味わい深い演奏を聴かせてくださいました。

 休憩を挟み、後半最初に演奏されたのは、平井京子の≪アダージョとアレグロ≫です。この作品は、モーツァルト生誕250周年を迎えた2006年に、阿部さんの委嘱で、モーツァルトへのオマージュを込めた作品として作曲されています。穏やかな静寂に包まれた「アダージョ」、楽しげで生き生きとした「アレグロ」。響きは近代的でしたが、モーツァルトのアダージョとアレグロの性格が存分に感じられるようで、非常に印象的でした。

 最後は、ラヴェルの≪鏡≫です。夜の闇に光を求めて羽ばたく蛾を彷彿とさせるような、軽やかでミステリアスに演奏された「蛾」、ほの暗い旋律と鳥の囀りのコントラストが幻想的であった「悲しい鳥たち」、壮大な波のうねりがクリアな音色で表現されていた「洋上の小舟」、鮮やかで、情熱的に演奏された「道化師の朝の歌」、谷間で鐘の音が幾重にも鳴り響くようで、荘厳な雰囲気が醸し出されていた「鐘の谷」。ラヴェルの演奏に定評のある阿部さんの、作品それぞれの情景が目に浮かんでくるような演奏に、誰もが息を呑んで聴き入っていました。

 鳴りやまない拍手に応え、アンコールは2曲演奏してくださいました。1曲目のショパンの「練習曲Op.10-11」ではキラキラとして洗練された演奏を、そして2曲目のピエール・サンカンの「オルゴール」では、調子はずれのオルゴールが実際になっているような、愛らしくユーモアのある演奏で盛大に締めくくられ、素晴らしいリサイタルとなりました。

(K.S)

 

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