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日本ショパン協会 第253回例会
宮腰いづみピアノリサイタル 開催レポート
《日本ショパン協会パウゼシリーズ Vol.10》
2011年1月29日(土) 18:30開演( 18:00開場)
主催:日本ショパン協会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
宮腰いづみさんは2008年に「パウゼ」で初のリサイタルを開催されました。今回はあれから約2年の月日を経て、2回目のご出演です。当日は非常に寒い日の中、非常に幅広い年齢層のお客様が集まり、満席となりました。宮腰さんの生徒からクラシック・ファンのお年寄りまで、皆さま演奏を心待ちにしておられるようでした。黒の中にキラキラ光る装飾が素敵なドレスで登場された宮腰さん。最初に弾き始めたのはモーツァルト(1756-91)の《ピアノ・ソナタ第13番》変ロ長調作品333。軽やかで優しい音色が会場に響きわたります。細かい音符も非常に丁寧に演奏されているのが印象的でした。
続いては、ショパン(1810-49)の《3つのマズルカ》作品59。寂寥感漂うシンプルな旋律を味わい深く演奏、晩年のショパンに特有の孤高の境地を表現されました。一方《舟歌 嬰へ長調》作品60では、厚く重なり合う声部をしっかりと弾きこなし、極めて美しい旋律を優しいタッチで表現。とりわけ中間部における透き通った音色は、宮腰さんのもつ美しい音色が最も理想的に響き渡った部分だと思います。
休憩をはさみ、後半はラヴェル(1875-1937)の《鏡》。前半の曲とは全く異なる不可思議な響きに満ちた作品です。宮腰さんはフランスで勉強をされていただけあり、フランス音楽は特に得意な分野なのでしょう。とりわけ、宮腰さんのソフトなピアノタッチは、冒頭の曲「蛾」にとりわけ合っていたように感じました。続いて「悲しき鳥」「洋上の波」「道化師の朝の歌」「鐘の谷」と、それぞれに楽曲の良さを引き出し、ピアノの響きの魅力を感じさせてくれる演奏を繰り広げました。
客席からの拍手に応え、アンコールにはショパンの《前奏曲集》作品28より「雨だれ」を演奏。心地よい響きを残してリサイタルを終了しました。終演後は、皆さま宮腰さんと賑やかにご歓談されていたようです。
アット・ホームな感じの、素敵なひとときを過ごすことができました。それぞれの時代を代表する名曲がバランスよく配置されたプログラムもよかったですし、宮腰さんのピアノの美しい音色が引き立つ選曲だったと思います。またの機会に、素敵な演奏をお聴かせください!
(M.S.)
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