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三宅麻美&N響メンバーによる
ベートーヴェン 室内楽シリーズ Vol.2 開催レポート
〜全ピアノ・トリオ、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ〜
2011年
1月26日(水) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会

会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 1月26日(水)「パウゼ」にて、「三宅麻美&N響メンバーによるベートーヴェン 室内楽シリーズvol. 2」が催されました。三宅麻美さん(ピアノ)、林智之さん(ヴァイオリン)、西山健一さん(チェロ)という豪華メンバーによるベートーヴェン。どんな音楽が聴けるのか、とても楽しみに会場へ向かいました。

 この室内楽シリーズは全7回構成で、今日はその第2回目。前半にベートーヴェンの《ヴァイオリンとピアノのためのソナタ》(以下、「ヴァイオリン・ソナタ」)2曲(第3番 op. 12-3、第7番 op. 30-2)、後半に《チェロとピアノのためのソナタ 第4番 op. 102-1》(以下、「チェロ・ソナタ」)と《ピアノ三重奏 第4番 op. 11『街の歌』》という盛り沢山のプログラムでした。

 最初に演奏された《ヴァイオリン・ソナタ 第3番》は変ホ長調(♭が3つの長調)で書かれています。変ホ長調はベートーヴェンが好んだ調性の1つであり、非常に男性的で雄大なスケールであることが特徴です。今日の演奏からはそのような力強さを聞くことができましたが、それだけでなく、緩徐楽章の第2楽章では、林さんの奏でるしみ入るような美しい音での旋律と、それに色彩感を加えるピアノの変化に富んだ和声との絶妙なバランスがとても印象的でした。

 続いて演奏された《ヴァイオリン・ソナタ 第7番》は、この曲が作曲されて300年以上経つ今日でもなお、名曲として親しまれている作品です。今日の演奏では、ハ短調(第1、4楽章)とハ短調以外の調性(第2、3楽章)の固有の性格を的確に表現することで、「ハ短調」(♭が3つの短調)という調性に備わっている悲劇的な力強さと緊迫感がより効果的に伝わってきました。演奏後、お客様は大満足の演奏に惜しみなく拍手を送られていました。

 休憩をはさんで、後半は《チェロ・ソナタ 第4番》でスタートしました。このチェロ・ソナタ(1815年)あたりからベートーヴェンの新しい作曲スタイルを見ることができ、というのも、この曲は5つの部分がほとんど途切れることなく演奏され、また「5」という数字からも今までの楽章構成にとらわれない新しさが感じられます。今日の演奏で西山さんは、この5つの部分を各部分に合った音色で弾き分けており、その音色の変化が私たち聴き手の耳を十分に楽しませてくれました。

 《ピアノ三重奏 第4番》は、もともとクラリネット、チェロ、ピアノのために書かれましたが、今日のようにクラリネットパートをヴァイオリンで代用して演奏することも多くあります。全体を通して、親しみやすい曲想で、特に第3楽章はヨーゼフ・ヴァイグルのオペラ《海賊》の旋律を主題にした変奏曲になっています。当時、オペラ中の人気のアリアを変奏曲にして楽しむという習慣がありました。今日の演奏では、3つの楽器の間で対話があったり、ヴァイオリンとチェロで二重唱があったりと、3人の登場人物が目に浮かぶような演奏でした。

 アンコールには、もともとクラリネット、ファゴット、ホルン、ヴァイオリン、チェロ、コントラバスという編成で書かれた《七重奏曲 op. 20》のうち、第3楽章のメヌエットをヴァイオリン、チェロ、ピアノの編曲版で聞かせてくださいました。

 アンコールを含め、本当に充実した演奏会でした。この室内楽シリーズはあと5回予定されています。ぜひもっと大勢の方に聴いていただきたい演奏会の1つです。

(A・H)

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