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オホーツク紋別セミナー受講生コンサート in 表参道 2011 > 開催レポート

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オホーツク紋別セミナー受講生コンサート in 表参道 2011 開催レポート
《東京藝術大学同声会コンサートシリーズ Vol.13》
2011年
1月9日(日) 18:00開演(17:10開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 普段はピアノ・リサイタルの会場として使用されることが多い「パウゼ」で、珍しいコンサートが開催されました。毎年夏、北海道で集中的に行われる「オホーツク紋別音楽セミナー」のトランペットとトロンボーン部門を受講した方たちが一堂に会し、講師の杉木峯夫先生・佐藤友紀先生(トランペット)、栗田雅勝先生・黒金寛之先生(トロンボーン)と共にその成果を披露するというものです。筆者も管楽器中心の演奏会はあまり聴いたことがなく、今回の演奏会をとても楽しみにしていました。満席の会場からは、開演を楽しみに待つお客様の様子が伺えました。

 前半はトロンボーン・アンサンブルです。メンバーの中には、なんと、北海道からこの日のために東京へ来られた方もいて、このコンサートにかけるセミナー受講生たちの情熱が感じられます。コンサート冒頭はバロック期以前の音楽が続いていきました。G. ガブリエリの《第1旋法によるカンツォン》、T. シュトルツァーの《ファンタジア》、H. パーセルの《ラメント》と、独特な旋法と響きが非常に印象的な作品で、トロンボーンの暖かで豊かな響きが会場を包み込みました。

 次の曲から時代は一気にとび、B.E. リンの《ファーストシャウト》《ペイジェント》、E.エワイゼンの《ファンタジーとダブルフーガ》、A. チェイスの《パッサカリア》。どれも19、20世紀の作品です。新しい英米作品ということで、高度な書法と複雑な響きが印象的です。エンターテインメント性溢れる楽しい演奏で聴き手を楽しませてくれました。

 休憩をはさみ、後半はトランペット・アンサンブルの出番です。オープニングは、B. ブリテンの《エドモンズベリーのファンファーレ》。奏者が順番に登場し、倍音列からなる素朴な旋律を演奏、最後には3人の演奏が重なり、混沌とした響きを作り出すという、短いながらも非常にユニークな曲でした。続くF. アンドリューの《2本のコルネットのためのコンチェルティーノ》は、古典的な形式による作品で、2人の奏者が交互にソロをとり、テクニックが際立つ演奏でした。一方R.メンデスの《シヤカネパス》と《ポルカ・ザ・ボックス》は古い時代の舞踊を取り入れた作品で、3人の奏者による豊かなハーモニーが際立ちました。

 コンサートも終わりに近づくと、いよいよトロンボーンとトランペットの合奏作品の登場です。立原勇さんの《セレナータ》は、本日初めて登場したバス・トロンボーンの低音の響きが効いた大変聴きやすく美しい作品。再演される機会が多いというのもうなずけます。

 最後の2曲は今回のコンサート中、特に大きな編成による作品が並んでいます。J. ガブリエリの《12旋法によるカンツォン》は、それまでにはない大迫力の演奏。演奏者を斜めに配置するという独自のアイデアにより、大音響でも決して耳にきつくならないバランスの良い響きを実現していたところに、出演者のこだわりが見られます。

 プログラム最後、立原勇さんの《紋別の大地にて》は、立原さんが紋別の映像や写真を見て、イメージを膨らませて書いたというスケールの大きな作品。大自然を思わせる壮大な音が会場に響き渡りました。

 お客様からの盛大な拍手にこたえ、アンコールには、「紋別市民の歌」を演奏。大盛況のうちにコンサートを終了しました。

ガブリエリから現代作曲家まで、非常に幅の広いレパートリーを楽しめた、ユニークで充実したコンサートでした。それほど馴染みのない作品もあったのですが、曲間に出演者による分かりやすい解説があったため、曲がより身近に感じられたと思います。ピアノの下田望さんも、バランスよく、安定した演奏で管楽器奏者の魅力を十二分に引き出していました。

 「パウゼ」でも初めての試みだったという管楽器のコンサート。今後も、様々なジャンルの演奏会が開かれていくといいですね。

(M.S.)

 

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