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 ホーム(ニュース) > ショパン・フェスティバル2010in表参道 青柳いづみこレクチャーコンサート開催レポート

ショパン・フェスティバル2010in表参道
青柳いづみこレクチャーコンサート 開催レポート
2010年6月4日(金) 19:00開演(18:30開場)
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」
主催:
日本ショパン協会
共催:カワイ音楽振興会
講師/青柳いづみこ クラヴサン/水永牧子

  

  

 青柳いづみこ先生のレクチャーコンサート午後の部は、「バロックのスタイルがショパンに与えた影響」をテーマに、若手チェンバロ奏者の水永牧子さんをゲストに迎え行われました。今回は、コチャルスキや安川加壽子などの歴史的録音を用いたり、ピアノとチェンバロでの実演も交えながら、わかりやすく解説してくださいました。

 水永さんによるチェンバロでバッハの≪平均律クラヴィーア曲集第汪ェ≫より「第1番 ハ長調 前奏曲」と、青柳先生によるピアノでクープランの≪百合の花ひらく≫のオープニングで始まったレクチャー。前半は、18世紀フランスで栄え、リュートの奏法をチェンバロで真似た様式、スティル・ブリゼ(砕かれた様式)についてです。クープランの≪幸せなイデ―≫やラモーの≪ため息≫などを例に、和音をかたまりではなく分散させ係留しながら演奏していくものだということを説明して下さいました。スティル・ブリゼはショパンも多く用いており、例えば≪前奏曲Op.28≫の「第5番 ニ長調」や≪ソナタ第3番≫より「第3楽章 ラルゴ」など、アルペジオの中でメロディを出していくところや、フーガでもないのにポリフォニックになっているところなどがそれにあたるとのことです。

 後半は最初は、装飾法についてです。ここでは、水永さんがラモーの≪サラバンド≫を例にラモーとクープランの装飾法について説明して下さいました。アポジャトゥーラ、ターン、モルデントなど、当時の装飾音は拍の頭に合わせ演奏するとのことですが、ショパンもこれと同じ方法を要求しているようです。また、ショパンの曲は細かなパッセージなどで装飾が書かれていますが、それらはオペラ歌手がポルタメントなどの装飾を即興で付け加えるところから影響を受けているもので、そのように弾くことが求められているということを≪ノクターン第2番≫や≪子守歌≫を例に解説して下さいました。

 次はルバートについて。ラモーの≪恋のなげき≫を青柳先生が譜面の通りにピアノで演奏された後、水永さんがチェンバロでルバートを用いて演奏されました。後者はインテンポでありながらもメロディは装飾や間の取り方が自由で、ショパンもこの方法と同じく、≪練習曲Op.25-7≫などを例に、左手はテンポをしっかりと刻みながら、右手は自由に歌わせていくことを説明され、このような右手と左手の縦線がずれたルバートを、水永さんがバッハの≪イタリア協奏曲≫より第2楽章で演奏して下さいました。

 最後は、水永さんがクープランの≪クラヴサン奏法≫より「前奏曲第7番」と≪神秘のバリケード≫を、青柳先生がドビュッシーの≪亜麻色の髪の乙女≫を演奏されました。ドビュッシーは≪神秘のバリケード≫をとても好んでいたようで、もしかすると≪亜麻色の髪の乙女≫にも影響しているのではないかと感じたのは筆者だけでしょうか。

 ショパンはロマン派の作曲家でありながらも、バロックのスタイルをふんだんに取り入れていたことがわかって、新しい発見の連続でとても勉強になり、まさに目から鱗のひとときでした。

(K.S.)

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