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 ホーム(ニュース) > ショパン・フェスティバル2010in表参道 笠間春子ピアノリサイタル 開催レポート

ショパン・フェスティバル2010in表参道
笠間春子ピアノリサイタル 開催レポート
2010年6月2日(水) 19:00開演(18:30開場))
主催:カワイ音楽振興会
共催:
日本ショパン協会

 

 ショパンフェスティバルもいよいよ終盤にさしかかりました。この日は、笠間春子先生のリサイタルです。「プレリュードの系譜」というコンセプトで、プログラムはショパンのプレリュードを中心に、彼が誰よりも崇拝していたバッハのプレリュードと、彼の影響を受けているドビュッシーのプレリュードで構成され盛り沢山の内容でした。会場は補助席が設けられるほどの超満員で、このリサイタルへの期待度の高さが伺われます。

 紫色のドレスで登場された笠間先生が最初に演奏されたのは、息子や弟子の教育用に作曲されたバッハの≪6つの小前奏曲集BWV933〜938≫。各声部の対位法的なかけ合いのバランスが良く、構成もかっちりとまとめられており、温かい音色で一曲一曲愛おしむように演奏されていました。

 続いて演奏されたのは、ドビュッシーの≪前奏曲集第2巻≫より、「霧」、「ヴィーノの門」、「月の光が降りそそぐテラス」、「オンディーヌ」、「ピックウィック卿を讃えて」、「花火」の6曲。それぞれ、表情豊かな音色と、繊細なペダリングで、実際に情景が目に浮かんでくるような演奏でした。特に「月の光が降りそそぐテラス」での高音のきらきらとしたパッセージと幻想的で広がりのある表現、「ピックウィック卿を讃えて」でのユーモラスで洒落た皮肉を言っているような軽快な演奏は印象的でした。

 休憩を挟み後半は、いよいよリサイタルのメインであるショパンの「前奏曲集Op.28」です。24の調性でまとめられたこの作品を、それぞれわかりやすく丁寧に演奏して下さり、ところどころに聴こえてくる対位法的でバロックの様式感や装飾的なパッセージはバッハから、そして、半音階的で複雑な和声と、表題はついていなくても描写的な性格を感じられるところはドビュッシーへ受け継がれたのではないかと思われ、前半2人の作曲家のプレリュードを聴いたことにより、普段とは一味違った視点で感じられ、とても興味深いものでした。

 アンコールに、ショパンと同じく24の調性でプレリュードを作曲したという共通点を持つ2人のロシア人作曲家の作品、スクリャービンの≪前奏曲Op.11-9≫とショスタコーヴィチの≪前奏曲Op.34-15≫が演奏され締めくくられました。

 ショパンのプレリュードと関連性のある作品が一夜で聴けた笠間先生のリサイタル。筆者自身もなるほどと思えるような発見が多く、とても充実した演奏会でした。

                                         (K.S.) 

 

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