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ショパン・フェスティバル2010in表参道
石井楓子ピアノリサイタル 開催レポート
2010年6月1日(火) 19:00開演(18:30開場))
主催:日本ショパン協会
共催:カワイ音楽振興会
連日大変な賑わいを見せている「ショパン・フェスティバル2010 in 表参道」。本日は桐朋学園大学1年在学中の石井楓子さんのリサイタルが開かれました。石井さんは大学1年生にして既にリサイタルや名だたる指揮者・オーケストラとの共演などを経験されており、ますます活動の場を広げている期待の若手ピアニストです。
本日のプログラムはもちろんオール・ショパン。ソナタやスケルツォ、マズルカなど魅力的な作品が並んでいます。会場に足を踏み入れてみると、石井さんのファンと思われる多くの若い方々が演奏を楽しみに待っておられました。
水色の素敵なドレスでステージに登場した石井さんが弾き始めたのは《ソナタ》第3番作品58。通常、腕に自信のあるピアニストがリサイタルの最後にもってくる大曲です。この作品をリサイタルの冒頭にもってくるあたり、他とは一味違う演奏会にしたいという石井さんの意気込みと自信が伺えました。石井さんの演奏は、奇を衒うことのない、まっすぐで端正な表現が持ち味で、ストレートに突き進む第1楽章、軽やかな舞のごとき第2楽章、夢見心地な第3楽章、そして情熱的に訴えかける第4楽章と、ピアノをしっかりと鳴らし、白熱の演奏を聴かせました。
休憩の後、再びステージに現れた石井さんは、ご挨拶と、プログラムについての簡単な説明ののち、演奏を始めました。《4つのマズルカ》作品24は素朴で軽やかな音色が魅力。続く有名な《スケルツォ》第2番作品31ではうって変わって力強い音色で圧倒的な演奏を繰り広げます。また初々しい若さあふれる響きが印象的だったのはショパンの初期作品の1つ《序奏とロンド》作品16で、遊び心さえ感じられる自由なリズム感が楽しい演奏でした。そして最後は《スケルツォ》第4番作品54。急速なテンポながらも走ることなく、しっかりと確実に力強い演奏を繰り広げました。
盛大な拍手に応え、アンコールには《練習曲》作品10-10と《英雄ポロネーズ》作品53を演奏。充実したプログラムを弾き切った後、アンコールの最後に再び大曲をもってくるところが、この若いピアニストの意欲と自信を感じさせました。
エネルギーと意外性に満ちた、楽しくかつ充実した演奏会でした。石井さんの今後の更なる活躍が楽しみです!
(M.S.)
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