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ショパン・フェスティバル2010in表参道
宮崎翔太ピアノリサイタル 開催レポート
2010年5月31日(月) 19:00開演(18:30開場))
主催:日本ショパン協会
共催:カワイ音楽振興会
ショパンフェスティバル2010。この日は、今年3月に行われたショパンコンクールで見事第一位に輝かれ、現在桐朋学園大学音楽学部ピアノ専攻3年に在学中の宮崎翔太さんのリサイタルです。会場には、コンクールの過酷な審査を勝ち抜いた若きピアニストを見ようと多くの観客が駆け付け、超満員のなか開催されました。
プログラムは、コンクールの2次予選で演奏された曲目を中心にオールショパンで構成されており、最初の≪バラード第1番 ト短調Op.23≫では、鮮やかなテクニックとクリアな音色で若々しいエネルギーに満ちた演奏をされ、続く≪幻想ポロネーズ 変イ長調Op.61≫では、深みのある音色で、冷静に音の流れを聴きながら和声の繊細な変化を見事に表現されていました。そして、前半最後は≪ノクターン 変二長調Op.27-2≫。ゆったりと安定した伴奏に支えられ、雫のような無垢な音色で紡ぎだされたメロディはたいへん美しく、自然な息づかいで歌われていました。
休憩を挟み後半一曲目は、≪4つのマズルカOp.17≫。各曲とも、ショパンらしい繊細でどこか哀愁を帯びたような感じと、マズルカの持つ独特な和声感やリズムが生きていただけでなく、センス良くまとめられ、年齢を感じさせない円熟した演奏が印象的でした。
そして最後は、≪ソナタ第3番 ロ短調Op.58≫ 。全楽章とも、隅々までコントロールの行き届いた音色で、じっくりと丁寧に、全身で音楽を語りかけてくるような説得力のある力強い演奏に心を打たれました。
鳴りやまない拍手に応え、アンコールに≪マズルカOp.63-2≫と≪ワルツOp.34-1≫が演奏され、盛大に締めくくられました。
宮崎さんの演奏は、高い集中力と音楽性を駆使し、一曲一曲の持つ個性を最大限に引き出している素晴らしいものでした。これからのご活躍が大いに期待できるピアニストの一人ではないでしょうか。
(K.S.)
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