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 ホーム(ニュース) > ショパン・フェスティバル2010in表参道 レクチャー(講師:有賀和子) 開催レポート

ショパン・フェスティバル2010in表参道
レクチャー(講師:有賀和子)
「子供に与えるポーランド現代作曲家の作品」 開催レポート
2010年5月30日(日) 13:00開演(12:30開場))
主催:
日本ショパン協会
共催:カワイ音楽振興会

  

 ショパン生誕200年を記念して、表参道で開催されている「ショパン・フェスティバル 2010」。折り返し地点の今回は、有賀和子先生のレクチャー「子供に与えるポーランド現代作曲家の作品」です。ショパンの故郷ポーランドで作曲された子供向けのピアノ作品が、有賀先生のご説明と実演によって紹介されていきます。 

 今回紹介される曲目は、すべてポーランドの作曲家によるもので、ショパン全集などで有名なPWMエディションから発行されています。有賀先生のレクチャーでは、こども向けの工夫が凝っているものとして、ネコなどのかわいらしいイラストを含む「ネコシリーズCat- Children Series」による各曲集が挙がりました。リビツキRybicki (1899-1978)の「私は弾き始めるOp.20」は26の小曲から成る、ピアノ初心者のための曲集で、『はじめのステップ』『メリーゴーラウンド』など5曲が演奏されました(豊留さん)。ガルシチャ Garscia (1920-2004)は、ピアノのための小曲集を多く出版していて、今回は「冬の遊びOp.24」や「ピアノのための小品集 Op.5」から数曲と、連弾のための曲が紹介されました。連弾曲の『こだま』ではお互いの響きを確かめて弾くというアンサンブルの練習にもなりそうです(馬場さん親子)。どれも描写的な音楽でこどもにとってイメージのわきやすい、また楽しく弾けそうな曲ばかりでした。

 オーケストラ曲や合唱曲も書いたセロツキ Serocki (1922-1981)の、ピアノのための小品集は、ポーランドの舞曲を集めたものです。クラクフの踊り『クラコヴィアク』や、農民の素朴な踊りである『マズレック』(マズルカの縮小形)は、お国ならではのリズム感、テンポ感が感じられました(永井さん)。マルキエヴィチューヴナMarkiewiczowna (1900-1982)の「色とりどりの絵I」では、片手のための曲があり(『羊飼いの少年』と『刈り入れる人』)、楽しみながら片手練習ができそうです(吉兼さん)。

 ピアニストで作曲家のマギンMagin (1929-1999)は特にピアノ教育に力を注ぎました。曲集「子供の映像」はショパンの叙情性を引き継ぎながらも情景描写的な作品として聴きました(渡辺さん)。最後に、ルトスワフスキ Lutoslawski (1913-1994)のこどものための作品を、有賀先生自らの演奏によってご紹介くださいました。意識的に12音を使う現代的な響きのする曲もあれば、ポーランドの民謡やリズムを生かした易しい曲もあり、現代作品だからといって決して敬遠すべきではないと感じました。また、どの曲からもポーランドの音楽教育の意識の高さを感じました。ショパンが大好きな日本人にとっても受け入れやすいと思いますので、こうした作品を初期ピアノ教育に取り入れてみてはいかがでしょうか。

(T.)

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