| |||||||
|
|
ショパン・フェスティバル2010in表参道
木田左和子ピアノリサイタル 開催レポート
2010年5月27日(木) 19:00開演(18:30開場)
主催:日本ショパン協会
共催:カワイ音楽振興会
ショパンの生誕200年を記念して、2週間にわたり盛大に開催されている「ショパンフェスティバルin表参道」。5日目は木田左和子さんのピアノリサイタルです。木田さんはポーランド国立ショパン音楽アカデミーへ留学され、その後、ポーランド作品の演奏及び録音を精力的に行っておられるという、まさにポーランド音楽のスペシャリスト。本日のプログラムはショパンを中心に、シマノフスキ、ルトスワフスキと、木田さんが得意とする作曲家が並んでいます。会場は補助席も出るほどの大盛況で、皆さま、木田さんの演奏を心待ちにしておられるようでした。
木田さんの演奏は、繊細で粒立ちのよい音が持ち味です。それはとりわけショパンの《子守歌》作品57や《4つのマズルカ》作品33で感じられました。左手のオスティナートの上にピアニッシモの旋律が流れていく音の世界は、ショパンの魅力を存分に発揮した表現だといえます。
シマノフスキの《変奏曲》作品3は、ショパンから影響を受けたと思われる親しみやすくかつ味わい深い旋律が魅力的。この作曲家のピアノ作品は、筆者にとってあまりなじみがなかったのですが、木田さんの演奏を聴いて、色々聴いてみたくなりました。リサイタルのなかで、木田さんの高度なテクニックが最も際立ったのは、前半最後のルトスワフスキの《2つの練習曲》でしょう。ほとんど無調に近い急速なパッセージの連続は演奏効果抜群。圧倒的な熱演に、お客さまも集中して聴き入っていたようです。
休憩をはさみ、後半はシマノフスキの《仮面劇》作品34とショパンの《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》の2作品です。《仮面劇》はシマノフスキ特有の神秘的な世界を美しい音色で表現していたのが印象的でした。《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》は柔らかい響きが心地よいアンダンテ・スピアナートと、壮麗華麗な大ポロネーズ、どちらも見事に弾き切り、聴き手を魅了しました。
盛大な拍手に応え、アンコールにシマノフスキの《マズルカ》作品62-1とパデレフスキの《メヌエット》作品14-1を演奏、リサイタルを締めくくりました。アンコールの選曲も、ポーランド音楽に造詣が深い木田さんならではのものです。
ポーランドの作曲家の世界を存分に楽しめた内容の濃いリサイタルでした。バランスのいいプログラム構成も、聴き手を飽きさせず、大変よかったと思います。これからも木田さんがますますポーランド音楽の魅力を伝えていってくだされば、と願います。
(M.S.)
|