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ショパン・フェスティバル2010in表参道
ダニエル・ヴヌコフスキピアノリサイタル 開催レポート
2010年5月24日(月) 19:00開演(18:30開場)
主催:日本ショパン協会
共催:カワイ音楽振興会
今月23日より始まったショパン・フェスティバル2010。この日は、ショパンをこよなく愛し、ソリストや室内楽演奏家として現在世界的に活躍されているダニエル・ヴヌコフスキさんのリサイタルが開催され、 プログラムは、ショパンと、同じくポーランドを代表する作曲家シマノフスキの作品で構成されていました。
最初に演奏されたのは、≪ワルツ イ短調Op.34-2≫。温かく深みのある音色による、しっとりとした演奏で会場が満たされていきます。
続いて演奏されたのは、シマノフスキの≪仮面劇Op.34≫。この作品は、「シェヘラザード」、「道化師タントリス」、「ドン・ファンのセレナード」の3曲で構成され、技術的にも音楽的にも高度なものが要求されるにもかかわらず、いずれも鮮やかなテクニックと色彩豊かでクリアな音色、そして実際に文学作品を読んでいるような巧みな描写が印象的でした。
休憩を挟み後半は、ショパンのバラード全曲が演奏されました。情熱的で、各場面の移り変わりが自然に行われていた「第1番 ト短調Op.23」。ヘ長調の優しく語りかけるような部分とイ短調の荒れ狂うような部分のコントラストが印象的であった「第2番 ヘ長調Op.38」。宝石をちりばめたような音色で、調性が変化するたびに様々な表情を見せ、優しさに満ち溢れていた「第3番 変イ長調Op.47」。瞑想的で深い解釈がなされていた「第4番 ヘ短調Op.52」。ヴヌコフスキさんの演奏するバラードは、ダイナミックで華やかなものとは違い、温かく繊細な音色で、一音一音に耳を傾けながら、語りかけるように丁寧に演奏されており、それは実に美しく、ショパンへの深い愛情が感じられる素晴らしいものでした。
盛大な拍手に応え、アンコールにショパンの《マズルカ ニ長調Op.33-2》が演奏され、華やかなうちに幕が閉じられました。
ヴヌコフスキさんのまろやかなタッチでもって、作品を大切し、愛情深く接しながら紡ぎだされていく演奏は、聴き手を温かな気持ちにさせてくれる魅力に溢れた素晴らしいものでした。
(K.S.)
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