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ドビュッシー頌 IV 室内楽 開催レポート
《東京藝術大学同声会コンサートシリーズ Vol.12》
2010年
12月17日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

  

 

 12月17日パウゼにて、ピアニスト澤田まゆみさんによるリサイタルシリーズ『ドビュッシー頌』が開催されました。フランスを代表する作曲家クロード・ドビュッシーを讃えて、彼の音楽の魅力を、演奏を通して皆様と紐といて行きたいという思いが込められたこのシリーズは、2007年より全4回にわたって様々なテーマで展開され、毎回好評を博しています。最終回となる今回のテーマは「室内楽」。リサイタルは、瀬?明日香さん(ヴァイオリン)、富田牧子(チェロ)、千葉理さん(クラリネット)と共に、澤田さんによるお話を交えながら進行されました。

 前半は初期の作品が2曲です。最初は、チェロとピアノによる≪スケルツォ≫が演奏されました。この作品はドビュッシーの死後に出版された<夜想曲とスケルツォ>が昨年新たに<スケルツォ>として出版されたもので、まだ世界であまり演奏されていないのだそうです。ピアノのキラキラとした音色でのマズルカのリズムにのせ、語りかけるようにチェロも奏され、曲が転調してゆくにつれて、様々な表情を感じられるような演奏でした。続く≪三重奏曲 第1番≫は、ドビュッシーがパリ音楽院在学中に和声を師事していたE.デュランに献呈された作品。ドビュッシーが美しい響きを探して行く様子が伝わってくるようです。若々しいエネルギーに満ち、音楽を楽しんでいるような演奏は印象的でした。

 休憩を挟み後半は、各奏者の方々にとってメジャーなレパートリーが並び、今夜登場するそれぞれの楽器の音色や特徴などが堪能できました。

 最初は、今から100年前に作曲された作品が2曲です。1曲目のパリ音楽院の試験用に作曲された≪クラリネットのための狂詩曲 第1番≫では、甘く幻想的に始まり、多彩な音色による技巧的で華やかに展開されてゆく演奏は圧巻でした。続いては、アメリカの音楽演劇団「ミンストレルズ」がモデルとなった≪ミンストレルズ≫がヴァイオリンとピアノで演奏されました。白人が顔を黒く塗り道化芝居をしている様子が目に浮かぶようなユーモラスな演奏は見事でした。

 最後は晩年の作品が2曲です。まずは、≪チェロとピアノのためのソナタ≫。この作品は、第一次世界大戦に心を痛めた後に作曲されましたが、そのときの悲痛な思などが伝わってくるような、張り詰めた緊張感に満ちた情熱的な演奏を聴かせてくださいました。続く、ドビュッシーの生前最後の作品である≪ヴァイオリンとピアノのためのソナタ≫では、ヴァイオリンとピアノの双方により音楽を存分に歌わせながら、白熱した演奏が繰り広げられ、会場から盛大な拍手が贈られました。

 鳴りやまない拍手に応え、アンコールとして、千葉さんが今回4人で演奏できるように編曲された、初期の歌曲≪美しい夕べ≫を全員で演奏され、和やかに締めくくられました。

 ドビュッシーの全生涯にわたる室内楽作品を堪能できたことはもちろん、それぞれ心から音楽を楽しんでいるような演奏は実にすばらしく、素敵な一夜となりました。

(K.S)

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