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中井正子 パリの香りII 開催レポート
『ラヴェル ピアノ作品全曲レクチャーコンサート・シリーズ』
〜第3回「水の戯れ・亡き王女のためのパヴァーヌ 他小品」〜
2010年12月4日(土) 16:00開演(15:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

  

 2010年も年の瀬を迎えて、表参道にはイルミネーションが飾られる季節になりました。そんななか「パウゼ」では、ピアニスト中井正子さんのレクチャーコンサートが開かれました。中井さんのレクチャーコンサートシリーズは以前から大好評のシリーズで、パリの香りPart Iではドビュッシー、そして今回のPart IIではラヴェルを扱っています。パリの音楽を表面だけでなく、その地の香りや才気までも真に表現なさる中井さんの演奏と解説。それを生で聴くために、今回もたくさんの人が集まりました。

 今回はラヴェル作品のうち、《亡き王女のためのパヴァーヌ》《水の戯れ》と、いくつかの小品をピックアップ。前半はそれらの曲を演奏し、後半はピアノを弾きながらレクチャーするという構成です。演奏で感じたのは、どの曲にも共通して、ラヴェル独特の節回し、流れるような和声感、実際には困難であるようなテクニック、そのどれもがとても自然にピアノから溢れていたことでした。聴き進めるうちに、心地よさの増していく演奏でした。

 こんな素敵な演奏に、どんなエッセンスが詰まっているのか――演奏者の口が開く瞬間、その秘密が解き明かされます。《シャブリエ風に》は二重のパロディである、といったミニ知識はもちろんのこと、「旋法的 antique」なものの表現方法、2つのペダルの同時使用、といった演奏に関する話題も盛りだくさんでした。これによって、ラヴェルの洗練された感性を肌で感じ、ラヴェルへの新しいアプローチを得られたのではないでしょうか。

 このレクチャーは、中井さんご自身の校訂による『実用版』にもとづいて進められました。ここには自筆譜や初期の印刷譜の研究、演奏の現場を考慮した、ラヴェルに最も近づき易い楽譜の姿があります。表紙のミュシャの絵が目印です。

 ここでお伝えしきれないほどたくさんの実用的な情報を聴けるレクチャーコンサート。ラヴェル編は次回が最終回ですのでお聴き逃しなく。2011年7月8日に開催予定です。 

(T.)

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