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上原由記音ピアノリサイタル 開催レポート
〜 全4回シリーズ「アルベニスを弾く」最終回 〜
2010年
11月27日(土) 18:00開演( 17:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 11月27日、パウゼにて上原由記音さんのピアノリサイタルを聴きました。2009年に没後100年、そして今年2010年に生誕150年を迎えたスペインの作曲家アルベニス。2007年から毎年1回ずつ行われてきた全4回シリーズの「アルベニスを弾く」も、今回が最終回です。チケットは完売で、スペイン音楽に定評のある上原さんへの期待の高さ、そして彼女の人気の高さが感じられます。

 今回演奏された作品は、アルベニスの作品の中でも、とりわけ民族色の濃いものだったように思います。『12の性格的小品』より「ピラール」で華麗にアルベニスの世界へと誘いました。続く「パバーナ・カプリーチョ」のパバーナとは孔雀を意味するそうですが、美しいトリルの装飾でイメージがかき立てられました。「セレナード・エスパニョール」でのリズム感は絶妙でした。『2つの性格的小品』の「ホタ・アラゴネーサ」と「タンゴイ短調」は、とりわけ「タンゴ」での生き生きとした表現が印象的でした。『組曲アランブラ』より「ラ・ベガ」は、神秘的で静謐な雰囲気が魅力的でした。

 後半は、まず『スペイン組曲』より4曲「グラナダ」「カタルーニャ」「セビージャ」「クーバ」が演奏されました。熱くまた切ない感情の伝わった「グラナダ」やカスタネット風のパッセージでいかにもスペイン的な「セビーリャ」など、どれも作品の特徴を活かしてきかせてくださいました。『アスレホス』からの「前奏曲」は和声による色合いの移ろいが実に美しかったです。そして、最後はアルベニスの最高傑作、かつ最難曲として知られる『組曲イベリア』より「トリアーナ」を鮮やかに演奏し、この日のクライマックスとなりました。

 会場からの鳴りやまない拍手に応え、アンコールは、ギター版でも有名でとても技巧的な「アストリアス」から始まり、「愛の歌」、「マラゲーニャ」、「タンゴ」、そして心に染み入る「ブレガリア」と全部で5曲も演奏してくださいました!シリーズの締めくくりとしても、満員の聴衆は大満足だったのではないでしょうか。来年の11月にもまたパウゼでコンサートを開催されるとのこと、楽しみですね。

(M. K.)

  

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