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上野優子ピアノリサイタル 開催レポート
〜 ココロノヒビキ Vol.1 〜
2010年
11月25日(木) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」

 

 11月後半ともなると、街はクリスマスの雰囲気に包まれていきます。25日、表参道「パウゼ」でピアニスト上野優子さんのリサイタルが行われました。今春のショパン協会例会で上野さんのリサイタルがあったのは記憶に新しいところですが、今回は上野さん独自のシリーズ《ココロノヒビキ》第1回として、故郷へ馳せる想いを音楽にのせて聴かせてくださいました。

 プログラムは、ハイドンのピアノソナタで始まりました。ハイドンはドイツ語圏を代表する作曲家として親しまれていますが、ピアノ(当時はその原型にあたるフォルテピアノ)においても表現の多様な可能性を開発していったことが鍵盤音楽史の上で重要です。上野さんの演奏では特に装飾音のつけ方が大変秀逸でした。ハイドン流の奏法を現代のピアノできちんと再現していて、とても品のある音楽として聴きました。続いてシューベルトの4つの即興曲では、テクニック上の完璧さは言うまでもなく、メロディの繊細な明暗のニュアンスがとても美しかったです。

 後半は、ウクライナとアメリカの作曲家の音楽にじっくり聴き入りました。セルゲイ・ボルトキエヴィチ(1877-1952)は20世紀前半の不幸な時代に亡命を繰り返した作曲家ですが、その心の響きの表れとも言える《嘆きと慰め》は、とても素直で美しく、聴き手の心にすっと入ってくる音楽でした。彼の作品はまだよく知られていませんが、上野さんのご熱心な演奏活動によってこれから注目を浴びることになるでしょう。

 最後は、生誕100年を記念して、サミュエル・バーバーのピアノソナタの演奏です。エネルジーコと指示される第1楽章は低音も高音も強い打鍵でダイナミックさを表現して始まり、聴衆はバーバーのスピーディーで原色豊かな世界観を味わいました。全4楽章から成るこの大曲を貫禄すら漂わせて弾き切った上野さんに、客席の全員が心からの拍手を送りました。

 日本での演奏活動が活発になっている上野さん。このシリーズの第2回が来年6月に、ここ「パウゼ」で予定されています。こちらもぜひ足を運んでみてください。

(T.)

  

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