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KSCO
菊池広輔&松岡優明 ピアノ・ジョイントリサイタル開催レポート
東京音楽大学 表参道 サロンコンサート Vol.11
2010年10月13日(水) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道 コンサートサロン「パウゼ」
優れた演奏家を多く輩出している東京音楽大学の『表参道サロンコンサートシリーズ』も本日で第11回目を迎えました。今回は、演奏家コース3年に在学中の菊池広輔さんと、同コース4年に在学中の松岡優明さんによるジョイントリサイタルが開催されました。会場は補助席が設けられるほどの超満員で、お二人への期待の高さがひしひしと伝わってきました。前半は菊池さんのソロです。冒頭のモーツァルトの《ソナタニ長調K.311》での明るく輝きのある音色と機敏で軽やかなタッチによる演奏は、洗練されていただけでなく自由で非常に遊び心に溢れており、聴いていて楽しげな気分にさせられるものでした。
続いては、先ほどのモーツァルトから一転してリゲティの《練習曲集》より第13番「悪魔の階段」です。この作品は複雑で高度な演奏技術が求められますが、菊池さんは確実なテクニックと、シャープな音で、ダイナミックかつ見事な演奏を繰り広げられました。
最後は、ショパンの《ソナタ第2番 変ロ短調Op.35》です。悲痛で情熱的な第1楽章、鋭いリズムが印象的な第2楽章、第3楽章の重々しい「葬送行進曲」では、中間の繰り返しの部分でも表情豊かに演奏され、そして第4楽章で風が吹き抜けるように曲を閉じられました。全体がしっかりと構成され、とても説得力のある演奏でした。
休憩を挟み後半は、松岡優明さんのソロです。最初に演奏されたのは、ラフマニノフの《絵画的練習曲Op.33》です。ラフマニノフ特有のロマンティシズムと重厚な響きが感じられただけでなく、それぞれ丁寧で表情豊かにたっぷりと弾かれ、その世界に思わず引き込まれるような演奏でした。
最後は、リストの《メフィスト・ワルツ第1番「村の居酒屋での踊り」》です。音色やテクニックの素晴らしさはもちろんのこと、居酒屋で人々が浮かれて踊っている様子や、中間のロマンティックなワルツなど、各場面が目に浮かんでくるような演奏は見事でした。
盛大な拍手に応えてのアンコールは、お二人の連弾でラヴェルの《マ・メール・ロワ》より第3曲「パゴダの女王レドロネット」が愛らしく演奏され、華やかに締めくくられました。
菊池さん、松岡さんのフレッシュでハイレヴェルな演奏が堪能できた素晴らしいリサイタルでした。今後のご活躍を楽しみにしています。
(K.S)
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