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中桐 望 ピアノリサイタル 開催レポート
《2009年 日本音楽コンクール入賞者シリーズ 》
2010年10月8日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 《2009年日本音楽コンクール入賞者シリーズ》の一環として、中桐望さんのピアノリサイタルが「パウゼ」で開催されました。中桐さんは、現在東京芸術大学大学院の修士課程に在学中ですが、すでに著名なコンクールでの入賞多数、オーケストラとの共演も度々経験し、着実にピアニストとしての道を歩んでおられます。今、注目の若手ピアニストの1人といえるでしょう。

 本日のプログラムは、今年が生誕200年に当たるショパンとシューマンの代表作で構成された魅力的なものです。内容の濃い大作が並んでおり、中桐さんの自信の程が伺えます。会場には若い年齢層を中心に多くのお客様が集まりました。皆さま、中桐さんの演奏を心待ちにしておられるようでした。

 紫の素敵なドレスで登場した中桐さん。前半はオール・ショパン・プログラムです。《アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ》をゆったりと演奏し始めました。ショパンの美しい旋律と響きをじっくり味わい、ご自身が楽しんで演奏しておられる様子が伝わってきました。続く《舟歌》も比較的抑制されたテンポで、重音の旋律を丁寧に美しく響かせ、この曲の魅力を存分に引き出していました。特に中間部分における音色の美しさは絶妙だったと思います。

 前半最後の《ピアノソナタ第2番》は、今年は特に多くのピアニストによって演奏されています。筆者も、今年は何度もこの曲の演奏を聴いていますが、中桐さんの今回の演奏は、これまでに聴いたどの演奏にも引けを取らない圧倒的なものでした。前の2曲とはうって変わって、終始緊迫感に満ちた白熱の演奏。中桐さんの極めて高度なテクニックが冴え渡り、聴き手をその世界に引き込みました。

 休憩を挟み、後半はシューマンの《謝肉祭》です。20曲からなる壮大な作品ですが、中桐さんは素晴らしい集中力とテクニックで弾き切りました。各曲の性格を巧みに弾き分け、華やかな曲、優しい曲、不気味な曲など、多彩な音色を駆使してシューマンの世界を見事に表現。素晴らしい演奏に、客席からはひときわ大きな拍手がおくられました。

 アンコールに応え、中桐さんはシューマンの《幻想小曲集》より「夕べに」とシューマン歌曲をリストがピアノ独奏用に編曲した《献呈》を演奏。大曲が続いた後、ほっと一息つけるような、素敵な演奏でした。

 極めて水準の高い素晴らしい演奏を聴かせてくださった中桐さん。これからの更なる活躍が楽しみです。

  (M.S.)

 

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