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三宅麻美&N響メンバーによる
ベートーヴェン 室内楽シリーズ Vol.1開催レポート
〜全ピアノ・トリオ、ヴァイオリン・ソナタ、チェロ・ソナタ〜
2010年
9月27日(月) 19:00開演( 18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:
カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 すっかり涼しくなった秋の夜、ピアニスト三宅麻美さんとN響メンバーによるベートーヴェンの室内楽シリーズの演奏会を聴きました。この日の演奏会は、シリーズの初回。演奏の前に、三宅さんご自身がベートーヴェンの室内楽の魅力を語りました。個人の意志の強さが表れ出で、民衆の言葉を代弁しているという彼の偉大さは、後世のあらゆる人が感じ入るものだと改めて気づかされました。

 さて、曲目は、それぞれ「第1番」として知られるものが3曲組まれています。まずヴァイオリンとピアノのためのソナタ第1番ニ長調を林智之さんと共に演奏しました。いつもはピアノの音色が響くパウゼの空間が、洗練された弦楽器とピアノの音で満たされました。ヴァイオリンのつやのある音とのびやかなアーティキュレイションが、ピアノの奏でる音を美しく飾りました。

 次は、チェロとピアノのためのソナタ第1番ヘ長調を西山健一さんと演奏しました。緩徐楽章のない2楽章から成る曲で、規模の大きな二重奏ソナタです。チェロは高弦に声のような自然さがあり、低弦に下から支える力強さがありますが、この曲ではそうした音域の広さがうまく生かされています。チェロもピアノも、旋律と伴奏という2役を分担するのではなく、お互いを補いつつ、それぞれのパートの独自性を大事にする演奏でした。

 休憩をはさんで、後半はメイン・プログラムであるピアノ三重奏曲第1番変ホ長調の演奏です。デュオとはまた違い、3人による完全調和した世界が開かれていきました。ヴァイオリンとチェロの掛け合いとそれを仲介するピアノ。ヴァイオリンとピアノが一緒になっていくところ、チェロとピアノが一緒になっていくところ。あちらこちらで、とてもうまく組み立てられた演奏だと感じました。特に注目したのは、ピアノが音楽の原動力となり、音楽をコントロールしていることです。それはあたかも、協奏曲のミニチュアのように凝縮され密度の高い音楽を、ピアニストが弾き振りしているかのようでした。(弾き振り:弾きながら指揮すること)

 アンコールには、ベートーヴェンが弱冠14歳で作曲したという〈トリオザッツ〉を演奏。珍しい曲に客席は大満足の拍手を送りました。見逃せないこの室内楽シリーズ、次回は2011年1月26日に開催される予定です。

(T.)

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