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小杉裕一 ピアノリサイタル 開催レポート
2010年9月10日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催:カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 9月10日パウゼにて、小杉裕一さんのピアノリサイタルが開催されました。小杉さんは、愛知県立芸術大学および同大学院を共に首席で修了されたのち、ハンガリー国立リスト音楽院で研鑽を積まれ、現在は大阪音楽大学講師を務められる傍ら、精力的に演奏活動を行っておられます。

 今回のプログラムは、J.S.バッハ、ベートーヴェン、リスト、シューマンとヴァラエティに富んでおり、開演を楽しみに待ちました。

 リサイタルは、J.S.バッハの≪平均律クラヴィーア曲集第1巻≫より<第8番 変ホ短調BWV853>で幕を開けました。プレリュードでは、澄んだ音色で、たっぷりと歌われており、5声の壮大なフーガでは、主題がさまざまな形で展開されていきながら織りなす世界を緻密に表現されていただけでなく、キリストの受難を思わせるような深みのある演奏でした。

 続いて演奏されたのは、ベートーヴェンの≪ピアノ・ソナタ第31番 変イ長調Op.110≫です。純粋で温かさに溢れた第一楽章、苦悩や葛藤を映し出したように情熱的に演奏された第二楽章、そして、苦悩を克服し復活していくような第三楽章。崇高で奥深い演奏はまさに圧巻でした。

 前半最後は、リストの≪巡礼の年 第1年 スイス≫より<第6曲 オーベルマンの谷>です。フランスの作家セナンクールの小説『オーベルマン』をもとに作曲され、主人公オーベルマンの心のうつろいや葛藤などが表現されていますが、オーベルマンの心境が次々と変化していく様子が手に取るように感じられるダイナミックな演奏でした。

 休憩を挟み後半は、シューマンの≪アラベスク ハ長調Op.18≫で始まりました。アラビアの建築物などに見られる唐草模様をそのまま音楽にしたような、繊細で優美な世界が醸し出されていました。

 最後は、同じくシューマンの≪謝肉祭Op.9≫です。この作品は、A-Es-C-Hの4つの音を動機とする、<ピエロ>や<ショパン>などといった21の小品からなりますが、短編集を読んでいるように、非常に楽しめる演奏でした。

 これらのプログラムを見事に演奏された小杉さんに盛大な拍手が贈られ、アンコールにシューマンの≪子供の情景≫より<第7曲トロイメライ>とワーグナー=リストの≪トリスタンとイゾルデ≫より<イゾルデの愛の死>が演奏され、華やかに締めくくられました。

 非常に充実した内容と格調高い演奏でお客様を魅了され、素晴らしいリサイタルでした。

(K.S)

 

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