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大田佳弘 ピアノリサイタル 開催レポート
《 東京藝術大学 表参道 フレッシュコンサート Vol.14 》
2010年9月3日(金) 19:00開演(18:30開場)
主催
カワイ音楽振興会
会場:カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ 」

 

 『東京藝術大学 表参道フレッシュコンサート』第14回目は、東京藝術大学の大学院を修了後、国内外で精力的に活躍されている若手ピアニスト大田佳弘さんのリサイタルです。会場にはたくさんの観客の方々で埋め尽くされ、大田さんへの期待の高さが伺えます。プログラムはバラキレフ、スクリャービン、ブラームスのいずれも大曲ばかりで構成されており、開演を楽しみに待ちました。

 最初は、ロシア5人組のひとり、バラキレフの、彼が好んだフラット5つの調性で作曲された作品を3曲演奏されました。1曲目の、グリンカの歌曲が編曲された≪ひばり≫では、ひばりの鳴き声を彷彿とさせるような繊細で輝きのあるパッセージの美しさと、それに支えられたメロディは、歌手が朗々と歌っているように奏でられ、ピアノソロにもかかわらず、実際に歌曲を聴いているような、声楽作品的な演奏でした。続く≪子守唄≫では、ゆったりとした伴奏の上に、ガラス細工のように繊細な音色でメロディが奏でられ、素朴で温かみのある演奏でした。3曲目の≪イスラメイ≫では、鮮やかなテクニックばかりでなく、東洋的で異国的な雰囲気を存分に醸し出しており、この作品は「東洋風幻想曲」とも呼ばれていますが、まさにその名にふさわしい演奏でした。

 前半最後は、スクリャービンの≪ピアノ・ソナタ第3番 嬰ヘ短調Op.23≫です。多彩な音色で、スクリャービンの苦悩を映し出すかのように情熱的に演奏されていただけでなく、とても良く構成されており、各楽章とも、それぞれの性格やモティーフの発展していく様子などがわかりやすく、知的な演奏でした。

 休憩を挟み後半は、ブラームスの≪ピアノ・ソナタ第3番 ヘ短調Op.5≫です。各楽章とも非常に考え抜かれ、緻密に描写されているばかりでなく、厳格で深みがあり、その中にほとばしるような情熱をひめた演奏でした。とりわけ、第2楽章での純粋で透き通った演奏による崇高な美しさに思わず引き込まれました。

 盛大な拍手に応え、アンコールにリストの≪コンソレーション第3番≫がしっとりと演奏され、締めくくられました。

 大田さんの、これらの大曲を見事に弾きこなす高い集中力と、鮮やかなテクニックと知的な解釈から成る演奏は素晴らしく、充実した演奏会でした。

(K.S)

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